【40年間積立投資でのリタイアにモノ申す】2ドルを5年で125万ドルにした方法 │ ザ・ミレニアル・ミリオネア

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グラント・サバティエ氏*『FIRE』は、資産2.26ドルから5年間で125万ドルにした著者が、時代遅れのリタイア論に物申し、新しい考え方を提供するといった内容です。

*米TVネットワークCNBCで「ザ・ミレニアル・ミリオネア」と呼ばれた有名な方

米国では、収入の2割を投資すれば、複利の効果で40年後にリタイアできるといわれています。しかし、そこには根本的に問題ありの前提が潜んでいる、と著者は指摘します。それは、20-60代の人生の貴重な時間を、フルタイムで働くことが求められる点です。もちろん、40年間働き続け、年を取ってから労働の果実を享受して幸せを感じられるかもしれません。でも、間違いなく代償として、40年間はお金を稼ぐとことが中心の生活になってしまいます。

そこで著者は、死ぬ間際に後悔しないよう、自分が価値あると思うことに時間を使いながら生きていけるように、最短5年でFIREすることを目指しました。そして実際に実現しました。その方法を本書で紹介しています。本書の構成は以下となります。

第1章　お金とは自由

第2章　時間はお金よりも貴重

第3章　あなたの目標とする数字は？

第4章　あなたのいまの立ち位置は？

第5章　次のレベルへ

第6章　それに見合う価値があるのか？

第7章　あなたにとって必要な唯一の予算

第8章　9時5時の仕事をハックしよう

第9章　より少ない時間でより多くのお金を稼ぐ

第10章　投資戦略の7つのステップ

第11章　不動産投資

第12章　十二分な資金を確保するための戦略

第13章　将来を最適化するためのフレームワーク

第14章　より豊かな人生を送る

1章・2章で、上述のように、既存のパーソナルファイナンスの考え方（収入の2割投資で40年積み立て）を否定します。そして、3章でライフスタイルに合わせてどの程度貯めればFIREできるかの検討フレームワークを提供します。そして、目標数字を定めたら、4章で自身の財務状況を詳細に整理するツールを紹介します。そして習慣的に確認する癖をつけるべきと説きます。5章が本書の肝です。すなわち、いかに早く資産形成するかを説明しています。大まかには、支出を切り詰めるには限度があり、FIREを加速させるには副業をして収入を増やし、多くの資金をより頻繁に投資に回すことで、複利の恩恵を受ける、というものです。6章では支出時に得られる価値と、投資した場合のリターンについての考え方が書かれています（いっぱいのコーヒーに3ドル払って得られる効果と、それを投資に回した際の期待リターンetc）。7章で予算に関する考え方を説明します。そして8章で、本業を短期・長期視点でいかに活用するかが書かれています。9章では、5章の内容を受けて、どのように副業を進めればいいのか、著者の友人含む具体例を示しながら書かれています。10章-12章は、一般的な投資戦略について（インデックス投資のススメ）、13章では習慣的な振り返りのフレームワークを紹介。14章で、FIREした著者の友人の例をいくつか挙げてまとめとしています。

本書の肝は5章・9章で、いかに副業を拡大させ、投資資金を増加させるかです。そのため、以下ではその内容を簡単にご紹介します。

著者は、収入拡大のために4つの戦略を組み合わせる必要があるといいます。

1フルタイムの雇用：誰かほかの人のために働く

2副業：副業でお金を稼ぐ

3起業：副業の規模を拡大する、もしくはそれをフルタイムの仕事にする

4投資：マーケットでお金を増やす

これらを、著者の言うエンタープライズ・マインドを持って取り組むというものです。エンタープライズ・マインドとは、収入増のためにあらゆる機会を活用し、できるだけ多くの手段を使って支出を最適化する、また複数の収入源を確立し、自分の時間の一分、一時間当たりの収入をできるだけ高めるような著者の考え方です。

上記4つの1だけでは、雇用者・経営者が、できる限り従業員がやめない範囲で給料を最小にしようとしてきます。そのため、1だけでは限界があります。そこで2を勧めますが、次の条件を満たすビジネスを見つけるべし、と説きます。

・自営で働く

・労働時間当たりの収入が高い

・あなたが楽しめる

・新たなスキルが学べる（スキルは将来のお金だ）

・成長性がある（もし望めば大きなビジネスに成長させられる）

・不労所得につながる可能性がある（他人を雇って仕事をしてもらえる、もしくは繰り返し発生する収入源になる）

では、実際どういったものがあるのか。著者にとって大好きで最も儲かる副業は「ドメイン名の売買、モペッドやフォルクスワーゲンのキャンピングカーの転売、ホームページの作成、ブログの執筆、デジタル広告キャンペーンの運営」などだそうです。ただ、フルタイムの仕事が忙しい中で、いかにこういった副業をいかに始めるかといえば、頑張って時間を捻出するのが必要といいます。朝家族が起きる前、本業が終了した夕方から夜の時間、週末、長期休暇・病気休暇（病気休暇が付与されていれば、元気でもあえて取得）、リモートワーク中、10~20分のスキマ時間です。これらを活用しながら、少しずつ取り組みをはじめ、不労所得を目指すということです。というのも、時間は有限なため、最も儲かる副業は不労所得になります。自分から積極的に何か作業をすることなく稼げるお金だからです。ビジネスを大きくすることで、寝ている間でもお金を稼げるようになります（近隣の犬の散歩をする副業であれば、雇った従業員が、自分が寝ている間にもやってくれるから）。

とはいえ、こういった不労所得につながる副業を立ち上げるのは簡単ではないことから、選定に関していくつかアドバイスを挙げています。例えば、

「流行りのものではなく人々が必ず必要なものだけに目を向けよう。例えば、食べる、寝る、犬の散歩、ベビーシッターを雇う、芝を借る、A地点からB地点へ移動する（中略）。娯楽や学習、インスピレーションも常に欠かせないものだろう」

著者の経験から、不労所得を稼げていたオンラインビジネスはたくさんあるが、Googleがアルゴリズムを変えて検索結果に現れなくなったり、Facebookがニュースフィードを変えてサイトに訪問者が来なくなっただけで、ビジネスがうまくいかなくなったそうです。そのため、アナログでも、流行りよりは根源的に人間が必要とする部分にフォーカスすることに重きを置いているようです。

ただ、それだけではどんな副業をしたらいいのかクリアではありません。そこで、検討のフレームワークを紹介しています。それは、自分の情熱とスキルを掛け合わせるというものです。左に趣味や情熱と、右に持っているスキルを書き、それが相互に活かせそうなものを抽出していくというやり方です。また、その事業がどの程度有望そうか評価する枠組みも紹介しています。

本書では以上のように、FIREを早めるための考え方、検討フレームワーク、いくつかの具体例を紹介しています。正直、読み終えたところで、「とはいえ日本で具体的に何ができるの？」というのはあります。しかし、その検討ができるようなツール群を紹介しているのが本書であり、それを生かしながら試行錯誤し、実際に行動に移してみることで、新しい発見につながるかもしれません。

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