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プロと同レベルのリターンを得る方法。『ウォール街のランダム・ウォーカー』【書評】

今回は、ロングセラー『ウォール街のランダム・ウォーカー』をご紹介します。

著者は、ウォール街投資銀行でのアナリストや、投資信託会社の社外取締役を経験したうえで、大学教授の立場から、個人投資家向けの投資方針案を説明します。

 

タイトルの「ランダム・ウォーク」とは、「過去の動きからは、将来の動きや方向性を予測することは不可能で、株価についても同様」という意味です。だからむしろ、市場の銘柄にランダムにダーツを投げるようにしても、プロの機関投資家と同様かそれ以上のパフォーマンスが得られる、と主張します。

 

そのため、結論としては、インデックス・ファンドのバイ・アンド・ホールド(買ってただじっと待っているだけ)戦略を推奨します。それがどの投資戦略・アプローチよりも安定してリターンが高いことを、分析・研究結果等交えながら説明していきます。

かいつまんで概要説明すると、以下のようになります。

株式投資の分析アプローチ

株式投資のための分析に、「ファンダメンタル(本質)価値学派」と「砂上の楼閣学派」(その一つがテクニカル分析)があるといいます。

 

「ファンダメンタル価値学派」は、株式の適正価値を測るものです。適正価値は、一株当たりの資産価値、利益と配当の期待成長率、金利、リスクなどによって決まります。しかし、情報や分析が正しくない、アナリストの間違い、市場は必ずしも完璧に効率的でないことから、必ずしもうまくいきません。

 

一方、「砂上の楼閣学派」は、本質価値を見出すのではなく、一般投資家の行動や希望的観測がどのように砂上の楼閣(バブルのような、群集心理により価格高騰が起こること)を作り上げるのかを分析します。そのアプローチの一つとして、テクニカル分析があります。ところが、これがうまくいかない理由として、結局コインを投げて表裏の確率が50%:50%であることに変わりないことや、結局トレンドが形成された後しか投資できないので、売り買いの好タイミングを失することなどを挙げます。

投資信託のパフォーマンス

では、プロの機関投資家が運用する投資信託はどうなのか。

結局、特定のファンドが一貫して市場平均を上回り続けることはできないというのが、過去実績を分析した著者の結論です。

 

アクティブタイプで銘柄を入れ替えても、結局のところ、将来を予測することができず、長期的にはうまくいきません。むしろ手数料など経費がかさむことがデメリットとなります。

 

当然リスクを取った方が、リターンは大きくなります。そこで、「バリュー」対「グロース」とか「小型株」対「大型株」などの属性にフォーカスした運用もあります。アクティブタイプよりも組み入れを抑え、経費率を低くするタイプ(本書では「スマート・ベータ戦略」)のファンドも、要は一種のアクティブ運用タイプと著者は見ます。

 

ただ、結局のところ、市場平均を上回るリターンを挙げているファンドも、追加リスクを取ってたまたまうまくいった結果と考えるべきだといいます。時価総額加重平均の市場インデックスと異なる銘柄や組み入れ比率を採用すると、ベータ*とは異なった種類のリスクを取ることになるのです。

*個別銘柄の株価が、市場全体に対し、どの程度敏感に反応して変動するかを示す数値です

行動ファイナンスの観点

行動ファイナンス学派によれば、投資家の非合理的な行動を数量化し、いくつかのパターンに分類することができるといいます。それによると、投資家の非合理的な行動をもたらすのは、以下です。

 

1自信過剰

2偏った判断

3群れの心理

4損失回避願望

 

行動ファイナンス学派は、それを理解した上で、投資家が規則性のある間違いを犯すことを利用し、冷静で合理的な投資家は市場平均に打ち勝てるはずだと主張します。しかしこれも正しくパターンを読むことは不可能です。

結論:ウォール街の歩き方

結論として、著者はウォール街の歩き方を三つに分類します。

 

1.思考停止型の人の歩き方

2.手作り型の人の歩き方

3.専門家任せの歩き方

 

一つ目が、著者が本書で推奨する歩き方です。いろんなタイプのインデックス・ファンドを買うだけで、あとはじっと待つだけで、簡単です。

 

二つ目は、ウォール街をジョギングしてあちこちを回り、気になった業種や国、地域を中心にめぼしい株を拾い集めるイメージです。大変な労力がかかりますが、面白味もある歩き方です。ただし著者は、安定的な長期リターンが難しいことから、大多数の投資家にはお勧めしないといいます。

 

三つ目は、プロの投資マネージャーを雇うやり方です。大半の個人投資家にとっては、積極運用の投資信託を買うオプションとなります。ただし、パフォーマンスがインデックス・ファンドのバイ・アンドホールドにかなわないか、よくても同じくらいなのに経費率が高いため、お勧めしていません。

 

 

本書は、1つ目を勧めますが、二つ目の個別株投資に対する挑戦者にも、有用なアドバイスを行っています。まず、成功のための4つのルールとして以下を挙げます。

 

1)利益成長率が今後5年以上にわたって市場平均より上の銘柄を買うこと

2)株価がファンダメンタル価値以上になっている銘柄には手を出すな

3)投資家が「砂上の楼閣」を作れるようなストーリーが描ける銘柄を探そう

4)なるべく売買頻度を減らすこと

 

2)は、本書で述べたように、株式の本質価値を正確に知るのは不可能です。ただし、株価がおおむね妥当かどうかの判断はできます。この場合、市場平均の株価収益率とほぼ同じか、あまり上回っていない成長株は、おおむね割安といえます。

 

ただし成長株は、既に株価にその成長が完全に織り込まれていることが多いです。そのような状況で、もし予測が実現せず、実際には利益が減少することになった場合、もしくは、単に予想よりも低い成長率で着地しそうというだけで、株価が下がる可能性があります。

 

それら踏まえ、銘柄選択のアドバイスは、「成長が期待でき、かつ低PERの銘柄を探すこと」とします。

 

3)を挙げている意図は、投資家(特に機関投資家)に受けがいい銘柄の方が、たとえ成長率が平均的でも、長期にわたって高い株価収益率で取引されることがあるためです。そのため、ある銘柄についてのストーリーが人々の心を掴めそうかを自問することが大事といいます。

 

まとめ

私は、「1.思考停止型の人の歩き方」だけではつまらないし、少しでも市場平均よりリターンを上げたいので、それに加えて「2.手作り型の人の歩き方」を実践しています。

 

具体的な運用は、月30万円を以下のように積み立てる方針です。

・インデックス型の投資信託(5万円/月)

ETF(11万円/月)

・個別株(13万円/月)*積立は米国株のみ

ビットコイン(1万円/月)

 

その結果、現状の運用成績は以下となっています(ビットコインは割愛)

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個別にみると以下です。まず国内株です。

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以下、米国株です。

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以下、投資信託です。

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配当目的で個別株に投資していますし、短期的に評価すべきではないですが、現時点での投資信託及びインデックス型ETFと、個別株の成績を比べると、結局VOO*、VTI**などのインデックス型が損益率10%以上と好調です。

* VOO(バンガードS&P 500 ETF):米国大型株など、S&P500全銘柄に投資するETF(上場投資信託

**VTI(バンガード・トータル・ストック・マーケットETF):米国上場企業のほぼすべてに投資するETF

 

今後、個人的には個別銘柄の目利きを高めていきたいですが、著者のアドバイスの「1)利益成長率が今後5年以上にわたって市場平均より上の銘柄を買うこと」と、「2)株価がファンダメンタル価値以上になっている銘柄には手を出すな」については、素人には妥当性の検証が難しいところが多いです(私の日本株の成績などはその表れかと思います)

 

ですので、安定的に資産形成を行いたい方には、やはりインデックス・ファンドへの長期投資の検討をお勧めします!

 

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