Mikeの投資ブログ

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【資金を素早く増やす】ミネルヴィニの成長株投資法【書評】

マーク・ミネルヴィニ『ミネルヴィニの成長株投資法』をご紹介します。

本書は、USインベスティングチャンピオンシップ*で優勝した伝説のトレーダー、マーク・ミネルヴィニによる成長株での投資法を記しています。

*米国では一定期間に指定口座でどれくらい稼げたかを競う投資チャンピオンシップがあります。

ミネルヴィニは、成長株で大きな収益を上げる投資するスタイルです。ミネルヴィニによると、資金を素早く増やす方法は、「最安値で買うことではなく、買った株を、最短期間で自分の買値を大幅に超える株価で売ることだ」といいます。具体的には、株価サイクルを4つのステージに分け、第二ステージの特定局面で買付け、売却することを基本方針とします。

また本書の特徴は、株価サイクルに加え、テクニカル分析の手法を詳細にわたり説明している点です。ミネルヴィニ自身は、純粋なテクニカル派ではありません。ファンダメンタルとテクニカルの両方を駆使し、成功の確率を上げることが重要と説きます。ただ、テクニカルにも重きを置いているので、本書ではかなりのページをテクニカル分析に割いています。

ファンダメンタル派で、テクニカルに興味がない方でも、新しい発見がある内容だと思いますので、お勧めです。

この記事では、テクニカルの手法は取り上げませんが、長期投資の方でも学びがありそうな点をご紹介します。PER(株価収益率)に対する考え方と、株価サイクルの整理です。

PERに対する考え方

ミネルヴィニは、成長株を探すときPERを気にしないが、極端に低い会社の株は買わないといいます。株価が利益の3~5倍か、一般的な業界よりもはるかに低い場合、ファンダメンタルズに問題がある可能性があるためです。

またPER単独では、株価が上がるのか下がるのかの判断に役立たないといいます。PERは会社の利益に対して、市場がどれだけ支払う気があるかを示しています。つまり、PERは期待度を図るバロメーターです。そのため、多くの成長株は、成長している期間にPERが高まります。会社のパフォーマンスが良くなるほど、期待度も高くなり続けます。

そしてより重要なのは、増益見込みが高い会社を選ぶことだといいます。急速に売上高を伸ばしている会社が最高の選択肢だと考えています。ですのでPERは、増益見通しほど考慮すべき指標ではないとも述べています。

 

昨日ご紹介したシーゲルとは、根本的に異なる考え方です(詳細下記)。PERは期待の表れであるので、高PERは必ずしも悪ではない、むしろ成長株で低PERはよくない、というのがミネルヴィニの見方になります。

mike2020.hatenablog.com

例えば、下記書籍でソニーの例が挙げられていました。ソニーは公開から三か月後の1995年11月に150円、約三年後に10倍、五年半後には100倍と急成長。その後1000倍、一万倍と上がっていき、2000年2月の最高値では安値に対して1万8000倍。PERは非常に高かったのですが、それで買わないと判断していたら、その恩恵は得られなかったということです。

mike2020.hatenablog.com

そのため、こと成長株に関しては、「高PER=避けるべき」という固定観念は持たないほうがいいでしょう。

株価サイクルとは

ミネルヴィニは、株価のサイクルを4つのステージに分けます。

第一ステージ:底固め局面―無関心

第二ステージ:上昇局面―機関投資家の買い集め

第三ステージ:天井圏―機関投資家の売り抜け

第四ステージ:下落局面―投げ売り

そのうえで、第二ステージで買い、第三ステージで機関投資家が売り抜く前に、自身も利益確定する方針です。以下が、各ステージを見極める際に参考になるとする特徴です。

第一ステージの特徴

・第一ステージの間、株価は上へも下へも持続した動きは見せず、横ばいに動く

・株価は200日(または、40週)移動平均線の近くで上下する。その上下の間、上へも下へも真のトレンドは形成されない。この全く動きのない局面は、何か月、あるいは何年も続くことがある

・第四ステージで株価が数か月以上も下げたあとに、この横ばいのステージに入ることが良くある

・通常、出来高は減って、前の第四ステージと比べても少なくなる

転換点の基準

・株価が150日と200日の移動平均線を上回っている

・150日移動平均線が200日移動平均線を上回っている

・200日移動平均線が上向きになっている

・高値と安値の切り上げが続いている

・上昇の時に急増する出来高押し目の時には対照的に少なくなる

・商いを伴って下落した週よりも、商いを伴って上昇した週の方が多い

第二ステージの特徴

・株価は200日(または、40週)移動平均線を上回っている

・200日移動平均線自体も上昇トレンドである

・150日(30週)移動平均線が200日(40週)移動平均線を上回っている

・株価は高値と安値を階段状に切り上げることで、明らかな上昇トレンドであるとわかる

・短期の移動平均線は長期の移動平均線を上回っている(例えば、50日移動平均線は150日移動平均線を上回っている)

・株価が大きく上昇する冷集には出来高が急増し、通常の押し目の期間では、対照的に出来高が減る

・平均以上の出来高の時には、下落する冷週よりも上昇する日や週の方が多い 

第三ステージの特徴

・株価は今までよりも変動幅が大きくて不安定になり、ボラティリティが高まる。全体的に株価は上昇していて、第二ステージと似たパターンに見えても、株価の動きははるかに不規則になる。

・通常は出来高を伴って、大きく下にブレイクする。しばしば、それは第二ステージの上昇が始まって以来、一日で最大の下落になる。週足チャート上では、その株の上昇が始まって以来、最も大きな下落になるかもしれない。この株価の急落は、ほとんど常に出来高の急増を伴う

・株価は200日移動平均線を下抜くかもしれない。第三ステージにある多くの銘柄は、天井をつける間に200日移動平均線を数回、上下するので、200日(40週)移動平均線の近くでボラティリティが高まるのはよくあることだ

・200日移動平均線は上方への勢いを失って横向きになり、やがて下降トレンドに転換する

第四ステージの特徴

・株価は200日(40週)移動平均線を下回っている

・200日移動平均線は、第三ステージでは平らか下向きになり始めていたが、今や明らかな下降トレンドである

・株価は52週安値を付けているか、そこに近い

・株価のパターンは、安値と高値の切り下げが階段状に続くという特徴がある

・短期の移動平均線は長期の移動平均線を下回っている

・株価が大きく下落する日や週には出来高が急増し、戻りでは対照的に出来高が減る

・上昇する冷種よりも下落する日や週の時に、平均以上の出来高になることが多い

 

ミネルヴィニは、株価がサイクルのどこにあるのかを見通しを得るために、このステージを調べます。そして、それを会社の利益サイクルと比較するのに使うといいます。というのは、最大級のリターンをもたらす銘柄の9割以上は株価の大幅上昇前かその間に利益の伸びが加速するためだからです。つまり、成長性の高い企業は利益成長率も高い。そういった銘柄が、機関投資家の買いで上昇するサイクルを、適切に見極めるのです。

またミネルヴィニは、チャートに対する考え方を次のように述べます。すなわちチャートは、買い手と売り手が集まって競売をしているときに、何が起きているかを可視化したもの。それは、感情や理屈や株価操作さえ意図した判断のぶつかり合いを、需要と供給という一目瞭然の形で単純化したものだ。そして、「株価の実際の動きを確かめずに、自分のファンダメンタル分析に賭けることはけっしてしない。その程度に、私はチャートに頼っている」。このように、テクニカル分析に重きを置いているのがわかります。

この点、名著『ウォール街のランダム・ウォーカー』のマルキールとは真逆の見方をしています。マルキールは、チャート分析を単なるコイントスと同様だとばっさり斬っていますので

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個人的には、原理原則としてはマルキールのいうように、チャートは100%あてになるものではないという点は同意です。

しかし、いつも100%当たるわけではないからと言って、まったく参考にならないというのは極端だと私は考えます。すなわち、成功の確率を高めるための補助情報として参考にする分には、検討の余地があると思います。というのも、競売のような市場では結局需要と供給で価格が決まります。その株価について、「健全な動きとおかしな動き」を区別できれば、可能な限り買うべきでないものを避けられるからです(大幅上昇の鍵となる機関投資家がついていない、など)。

また、ミネルヴィニの次の表現は、危険信号を感知するのにも役立つ点を的確に表現していると思います。「カギは、株価が次にどう動くかを予測することではなく、どう動くべきか知っておくということだ。すると、それは電車が定刻通りに来るかどうかを判断するという問題になる」。つまり、定刻通りに電車が来なければ、何か問題が起きている(買うべきでない状況)か、問題が起きつつあるわけです。それによって、急成長株候補の適切な特徴を本当に示しているかの判断につながるのです。

チャートを読み、株価予測ではなく危険信号を察知する程度に活用するのであれば、長期投資でも参考になるのではないでしょうか。もちろん、20~30年の長期で見れば、いつ買ってもいずれ上昇するから気にしない、というスタンスであれば、チャートを気にする必要はありません。

しかし含み損があると、メンタルが強くない限り落ち着いて継続買付するのが困難になる場合があります。ですので、なるべく高値掴みを避けるためにも、危険信号を察知するような意味では、少なくともチャートの活用余地があると考えています。

今回は以上です!

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