Mikeの投資ブログ

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ジム・クレイマーの銘柄選択法とは?推奨銘柄は?

今回は、ジム・クレイマーの『ジム・クレイマーの”ローリスク”株式必勝講座』をご紹介します。

ジム・クレイマーは、長年ファンドマネージャーとして成功してきた経験から、具体例に基づく実践的な投資手法を本書で紹介します。

前著(『全米No.1投資指南役ジム・クレイマーの株式投資大作戦』)では、短期トレーディングの積極推奨や、資金の2割を「投機」で攻めるなど強調していました。しかしそれから十年たち、リーマンショックなどの不況も経験し、本書においては中長期の時間軸でどう収益を上げるか、にフォーカスが置かれているのが特徴です。

以下、本書の構成です。 

第一章 何が株価を動かすのか

第二章 「トップダウン」アプローチの手引き

第三章 スーパー・グロース銘柄の評価

第四章 社会と経済の7つのトレンド

第五章 会社分割による株主価値の創造

第六章 株主価値を高める21人の名CEO

第七章 いつ売ればいいのか

第八章 強い思い込みはケガのもと

大まかには、それぞれ以下の内容が記されています。

第一章で株価形成の基本(ファンダメンタルに変化がないのに株価が上下する背景など)などを説明します。

次に第二章で、政府統計など信用しすぎず、企業の業績発表のQ&Aやカンファレンスコールでの情報収集、特定の指標を参考にした銘柄検討などをすべきと述べます。

第三章では、割高に見え分析が難しいスーパー・グロース株について、アマゾン、グーグル、スターバックスを例に10のテスト項目で評価する手法を紹介します。

第四章ではスーパー・グロース株を選ぶ際に参照するメガ・トレンドを説明します。

第五章では、コングロマリットの解体による株価上昇の可能性を検討します。

第六章では、ジム・クレイマーが信頼する名CEO(ディズニーのボブ・アイガー、セールスフォースドットコムのマーク・ベニオフetc)

第七章では、売却タイミングに関するパターンを、具体的な失敗例を交えて説明します。

第八章で、そのほか投資の留意点を記載しています。

その中で今回、米国でのインフレや、テーパーリング(量的緩和の段階的縮小)が懸念される中で参考になる「金利上昇局面での立ち回り方」について、内容を簡単にご紹介します。

金利上昇局面での立ち回り方

金利上昇では、債券の利回りが高まり、公益セクターなど配当利回りの高さで債券代わりに保有されてきた銘柄中心に売られやすくなります。こういった株式から債券への資金移動で、株式は総じて下落していきます。

また、株式の配当利回りの面だけでなく、FRB連邦準備制度理事会)の景気刺激抑制策が企業業績を圧迫します。そのため、何兆ドルといった規模で運用するファンドマネージャーたちは、株式から資金を引き揚げます(とくに業績が景気動向に敏感な銘柄は影響大)。

さらに、金利上昇によって負債の金利負担が増加し、仕入れコスト上昇などを受け、アナリストたちは利益見通しを下方修正します。

このような局面では、景気循環とは無関係に利益成長が期待できる「グロース株」は、株価が下がる中で買いの好機となるといいます(アマゾンなど)。

またそのほかスーパー・グロース株の中でも、本書で紹介するメガ・トレンドにのった銘柄がおすすめといいます(メガ・トレンドは「スマホソーシャル・ネットワーククラウド」、「健康、長寿社会」、「倹約志向の新しい価値観」、「M&Aによる市場支配力の確保」、「見えないハイテク」、「新しい医薬品」、「石油・ガス革命」を挙げています)

ちなみに、スーパー・グロース株の重要性については、次のように述べています。

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景気が低迷し、雇用情勢も悪い局面で、何を買っても上がりそうにないときに、スーパー・グロースを保有しているかいないかが、勝負の分かれ目になるのだ。(中略)

今日株式市場が置かれた状況で、市場平均に打ち勝つ雨には、絶対保有しなければいけない

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また、景気や金利サイクルに影響されない企業として、優良な医薬品大手があります。高齢化や中間層の長寿化といった長期トレンドも味方につけます。これら企業も、金利上昇による企業業績インパクトを恐れた機関投資家の売却にともない、株価下落局面が訪れる可能性があります。そのときは、金利上昇が峠を越すのを待って、不当に売り込まれて安くなったタイミングで買うのが得策、といいます(銘柄例:ブリストル・マイヤーズスクイブなど) 

ただし当然ですが、景気循環株とグロース/スーパー・グロース株だけで分類しているわけではありません。ジム・クレイマーとしても、安定成長銘柄として、キンバリー・クラーク、P&G、ジョンソン&ジョンソン、ゼネラル・ミルズコカ・コーラペプシコ、ハーシー、ケロッグ、クロロックスなどを挙げています。これらは、高成長とは言えないが、ぱっとしない景気の中でも安定的に利益を上げ続けられる企業との位置づけです。

また、3M、ハネウェル、エマーソンなどは景気循環銘柄と安定成長銘柄の間に位置する中間的な存在としています。つまり、好景気の時はもちろん、景気停滞時もいい業績を維持します。

銘柄選択のステップ

ジム・クレイマーは、銘柄選択のステップとして以下を挙げます。

1)成長サイクルの見極め

2)サイクルにあった銘柄の選別

具体的には、経済が力強く成長している、もしくはそこに向かって回復している局面では、循環株を選択します。循環株は景気に敏感に反応し、上昇局面で高いリターンをもたらすからです。

逆に、景気が下降局面に入った、あるいは当面停滞が続くと判断される場合、成長株を中心に選ぶのが良いといいます。成長株は、経済の成長鈍化局面においても、コンセンサス予想並みかそれ以上のパフォーマンスを上げる傾向が強いためです。

例えば、世界経済が拡大局面を迎え、3-4%の実質GDP成長を達成する見通しが出されたとします。その局面では、景気に敏感なキャタピラーやカミンズ(重機)、あるいはアルコアやティムケンといった、鉄、非鉄関連を選ぶといいます。

一方、景気は上向いているがまだ前回ではない局面、例えばGDP成長率が2-3%見通しとされる場合は、「循環成長株」、すなわち前述の3M、ハネウェルといった銘柄をファンドマネージャーたちは選択します。典型的な循環株はコンセンサス予想を下回る傾向があるためです* 

*ファンドマネージャーたちは、常にコンセンサスを大きく上回るサプライズを探しています。そのため、コンセンサス予想を下回って売られるリスクがある銘柄は好みません

もし、経済成長率が2%でこれ以上高まりそうにないときは、ファンドマネージャーたちは別の銘柄を選択します。それは、少々贅沢な資質で潤うタイプの成長株です。2%の伸びでは消費者はまだ多少余裕があり、必需品への支出に加え、少々の贅沢消費を行うとみられるからです。銘柄としては、スターバックス、パネラ・ブレッド、チポトレウォルト・ディズニー、メイシーズなどです。

そして、景気が下降局面に入り、目先低成長が続くことが予想されるとき、ファンドマネージャーたちは、循環株から安定性の高い銘柄にシフトします。医薬品や食品関連です。具体的には、ファイザー、メルク、ペプシコゼネラル・ミルズなどです。

さらに、経済成長が止まり、多くのセクターが苦境に陥る局面では、ファンドマネージャーたちは、公益産業、石油・天然ガス投資組合株式、REITなどです。これらはそもそも低成長タイプで値上がりは期待できませんが、事業リスクは低いです。そのため、コンセンサス予想未達という可能性も低いのです。元本割れ回避の位置づけで買われます。

著者は、「長期保有でとにかく売らない」というスタンスでは、市場平均をアウトパフォームできないと考えます。不確実性の大きい時代において、市場サイクルに応じて俊敏にポートフォリオの組み換えを行うべきだとします。

例えば、分散保有論者ではあるものの、景気が悪い局面ではあまり重化学工業セクターにウェイトをかけるべきではなく、また景気上昇局面では低位安定株や、ディフェンシブ銘柄のウェイトは下げるべきだと説明しています。そうしないと、景気変動が起こる中で、対応が後手になり逃げ遅れ損失を出す、もしくは得られたかもしれない高いリターンを逃すことになるからです。

まとめ

さて、私のポートフォリオは以下ですが、本書の指摘を私のポートフォリオに当てはめると、ジム・クレイマーからは次の指摘が入りそうです。

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a)市場サイクルに対応したポートフォリオができていない

強い経済成長局面*だったにもかかわらず、循環株もしくは成長循環株の比率が低い(米国GDP予想)。また、消費安定株や公共銘柄の比率が高い

*米国は、2020年4-6月期実質GDP成長率-31.4%から、その後3期連続プラス成長で力強く回復。21年1-3月期は前期比6.4%増(金融緩和の継続とワクチン接種の進展により) 

b)スーパー・グロース株がなく、市場平均をアウトパフォームできる可能性が低い

ハイテク株はアップル以外はETFでの保有となっており、中途半端にリスクを負っている(銘柄選択・市場評価が正しくできない)

 

a)は、確かに強い経済成長が続く中で、その恩恵を受けられないポートフォリオでした。(例えばエネルギー株など)。しかし、インフレ懸念があり、また今の力強い成長局面がすでに株価に織り込まれている中で、今からの参入で割高とならないのか、そこは慎重な検討が必要と考えています。

また消費安定株は、今後の金利上昇局面への備えという意味では、保守的なスタンスとしてはありでは、と考えています。公共株については、株価の値上がりが大きく見込みづらいセクターではあるので、債券をアンダーパフォームする可能性がないかは検討していきます。

b)スーパー・グロース株がないのは確かです。ここは、これからの金利上昇局面でも成長が見込めるような銘柄の検討・発掘が必要と考えています。現時点では、マイクロソフト仕込もうかと考えていますが、今後その他の発掘も考えていこうと思います。

またハイテク系のETFですが、金利上昇に伴い、長期的に苦境に陥る可能性もあると考えます。そのため、今は損切は考えていませんが、損益がプラスになったタイミングで売却したいと考えています。

 

いかがでしたでしょうか?本書は2015年の本ですが、歴史的な低金利状態が過去のものとなり、金利上昇のインパクトが株価を左右する中期的な大テーマであり続ける、という指摘をしています。現在のインフレ懸念や金利状況を踏まえると、まさにそのときが来ているとも感じられます。

「不確実性が高い中で、長期でただ保有していれば市場平均をアウトパフォームできるわけではない。市場サイクルに合わせ、ポートフォリオを俊敏に変えていく必要がある」という点は、全面的に受け入れなくとも、一理あると考えます。これからまさに向き合っていくべきテーマだと思います。

市場サイクルについては、こちらの記事もご参考までにリンクをはっておきます! 

mike2020.hatenablog.com

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