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【ブラック・スワン】暴落にどう備えるの? │不確実性の本質

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不確実性の本質を扱ったナシーム・タレブ氏『ブラック・スワン』をご紹介します。ブラックスワン(黒い白鳥)とは、まずありえない、予想もしない出来事のことです。その特徴は、第一に異常(過去に照らしてそんなことが起こるかもしれないと示すものは何もなく、普通に考えられる範囲の外側にある)であること。第二に、起こればとても大きな衝撃があること。第三に、異常であるにもかかわらず、人間の性質から、事後に適当な説明を作り上げ、予想可能だったかのように扱ってしまうことです。

例えば金融市場の例として、1987年の株価暴落があります。また、2001年9.11のテロもブラックスワンです。金融の実務家も学者も、リスクを考慮してポートフォリオを組んでいるといっていますが、ブラックスワンがやってくる可能性を取り除いた形でリスクを測っているだけなので、こういった事象で大きな損失を被るといいます。では、ブラックスワンに対してどう考え、どのように対応するのがいいのか。以下、本書内容をかいつまんでご紹介します。

第一部で、ブラックスワンの特徴を述べています。まず、そもそも人間が知識をどう扱うかを検討します。その中で、実証的証拠よりも逸話のようなものを好む傾向にあることを指摘します。そして、ブラックスワンには、人々のa)追認の誤り(自分の知らないことではなく、知っていることの証拠を探す性質)、b)講釈の誤り(もっともらしい説明や逸話で自分を納得させる傾向)、c)推論に情緒が入り込むこと、d)物言わぬ証拠の問題(バイアスで致命的な危険などの事象が見えにくくなる)といった側面があると整理します。

第二部では、a)先が見えない将来を扱う時に陥る間違いと、b)一部「科学」の限界と、c)そうした限界をどう扱うのがいいのかについて検討しています。

a)は、例えばエコノミストなどの予測が当たらないとき、外れ値が原因であることがあります。エコノミストは、外れ値が出て予測が外れると、外れ値のせいだからといいますが、そもそも外れ値の外でしか予測を組み立てていないのです。また、計画が失敗に終わる例として「トンネル化」も挙げています。つまり、計画にはない不確実性の根源を無視する傾向です。その要因として、不確実性の性質にかかわる誤解があります。一つが、バラツキ・誤差を無視すること。二つ目は、予測期間が長くなれば予測精度が落ちるが、それを考慮しないこと。三つ目は、予測時の変数のランダムな性質を見誤ることです。実際に期待されるよりもずっと楽観的だったり、悲観的なシナリオに則ってると思って変数をとらえてしまうのです。

b)は、「プラトン的」として、凝り固まったご都合主義(著者があるべきと主張する、開かれている実証主義と対極にあるもの)的な「科学」の限界について述べます。例えば、ノーベル経済学賞を取ったポールサミュエルソンをあげます。サミュエルソンは、一般に近代経済学を切り開いたといわれます。つまり、人が合理的選択を通じて経済活動を行うという前提にたち、数学的な分析を可能としました。しかし著者は、それは数学を使って科学しているように見えるだけだといいます。例えば不確実性のもとでは、人は非合理的になりえるからです。だから、合理的な行動を行うとする前提が不確実性を考えるうえでは正しくないのです。

c)そこで不確実性に対してどう対応したらいいのか。著者は、非対称性に基づいて検討すべきといいます。結局、未知なものが分かることはありません。でも未知なものでも、自分にどんな影響を及ぼすかを推測できます。言い換えれば、まれな事象の確率は計算できません。しかし、そういう事象が起こった時の影響なら推量できます。だから、何かを判断するときは、確率よりも、影響を基に意思決定するのです。例えば投資のポートフォリオが暴落のリスクを負っているとして、暴落の起こる確率は計算できないが、保険を掛けるか、失うわけにはいかない金額だけポートフォリオを売却して、低リスクの資産に投資するかのどちらかといった判断は可能、ということです。

第三部は、ランダム性を排した正規分布にまつわる誤解がどのように起こっているかや、どう社会・経済で誤った説明に使われているかを述べています。その中で、「黒い白鳥という私の考えを受け入れる人は大勢いるけれど、彼らは、黒い白鳥を受け入れれば当然にたどり着く論理的な結論の方は受け入れない。つまり、ランダム性を標準偏差というたった一つの測度で表す(そしてそれを「リスクと呼ぶ」)ことはできないという結論だ」と述べています。そのため、ランダム性を適切に扱えば、黒かった白鳥が灰色になるといっています。すなわち、白鳥が現れる可能性が見えるようになり、そうすれば現れた場合の影響を意識することができるようになる。そうすることで、予期しなかったとびっくりさせられることが減るということです。

 

著者は、デリバティブトレーダーでもあったことから、学者としての研究だけでなく、実際にプロとして投資もしてきました。本書の出版が2007年4月で、その後リーマンショックが起こったため、ブラックスワンの内容は注目を集めました。

本書は、専門的で難解な部分や、既存の学者に対する批判にかなりの紙幅を割くなど、読みづらい部分もあります。ただ、第二部の「トンネル化」など、既存の計画や予測が陥る過ちなども記載されています。そのため、「投資における不確実性のとらえ方」といった視点だけでなく、市場予測や事業計画にかかわるお仕事をされている方にとっても、学びの多い内容になると思います。

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