【FIRE】日本でのFIREブーム火付け役『本気でFIREをめざす人のための資産形成入門』【書評】
今回は、『本気でFIREをめざす人のための資産形成入門』(2020/7) をご紹介します。
著者は、ブログ「三菱サラリーマンが株式投資でセミリタイア目指してみた」の穂高唯希氏です。
FIREとは、Financially Independence and Retire Earlyの略で、経済的に自立し、早期に退職することです。著者は、若い年代で経済的自由を果たし、セミリタイアしたロールモデルが日本にはいないと気づきました。そこで、自身がそれを体現しようと試みたのです。そして、新卒で三菱系企業に入社してから7年半(30歳)で実現しました。
本書の特徴は「再現性」にあります。
投資で一発当てる、といった取り組みも、セミリタイアへの一つのアプローチではあります。しかし、それは運によるところが大きいとも言えます。著者は、そのようなアプローチとは一線を画し、誰でも可能な「再現性の高い資産形成の方法」を解説しています。
「再現性の高い資産形成の方法」は、以下のポイントがあります。
- 支出の最適化
- 高配当・連続増配株への投資
- 長期投資
それぞれ内容を見ていきましょう。
- 支出の最適化
「資産形成の基礎は、支出の最適化(節約)にあり」と述べます。資産形成の肝は、結局のところ、A)「収入―支出の最大化」と、B)「運用利回りの最大化」です。
ただし、B)は自分でコントロールできない要素を多分に含みます。例えば、相場は自身でコントロールできません。一方、A)は自身の習慣付を行うことで、再現性がでてきます。
そのため、無理のない範囲でA)を日常生活から徹底していくことを勧めます。
- 高配当・連続増配株への投資
配当金は、定期的な不労所得となります。ここも再現性のポイントです。というのも、定期的に株式を買い付ければ、配当支払いは、企業が利益を生み出す限り、継続的に行われるからです。
逆に、デイトレードなどの短期トレードでは、購入・売却のタイミング次第で、相場に左右されてしまいます。うまくいけば儲けられますが、失敗すれば、市場からの退場といった最悪のシナリオもあり得ます。
また、銘柄によっては減配や無配もあり得ます。そのリスクを抑えるため、米国の「連続増配株」でポートフォリオを組みます。
- 長期投資
投資期間を長くすることで、最低リターンと最高リターンの幅が収れんしていきます。つまり、安定したリターンが得られるようになります。
例えば、米国株の投資期間ごとの年間リターンを見ると、15年以上で元本割れリスクがなくなるのです(1988-2016年のS&P500の年率リターン)
・投資期間1年のリターン:上は+60.7%、下は-48.7%
・投資期間5年のリターン:上は+29.2%、下は-8.6%
・投資期間10年のリターン:上は19.0%、下は-3.6%
・投資期間15年のリターン:上は11.3%、下は+1.7%
以上のような3点を行うことで、誰でも穂高氏のような資産形成を再現できるのです。
資産運用の書籍は様々ありますが、本書のような簡単な言葉で、かつ納得感の高い内容は、そうないように思います。ですので、もしまだ読んでいない方がいれば、ぜひ手に取ってみていただきたいと思います。