Mikeの投資ブログ

子育てパパが1億円を貯め、経済的自由を達成するまでをつづります

キャピタルゲイン増税でもトレンド影響なしか

バイデン大統領が計画しているキャピタルゲイン増税は、NEC(国家経済会議)委員長は、現地時間26日、影響を受ける人は納税者の0.3%にとどまると説明しました(こちら

 

100万ドル以上の富裕層に対するキャピタルゲイン課税は、現行20%です。これを39.6%にするものです。戦後33.8%を超えたことがなかったため、実現すると1920年代以来の水準となります。増税による税収の使途は、子育て支援などということです。また、オバマケアも合わせると、連邦政府による富裕層へのキャピタルゲイン課税は43.4%に上ります。

 

23日の米市場は下落しました。

しかし、影響は短期的とみるなど、それほど大きな混乱とはならなそうです。キャピタルゲイン増税と株価に相関性がないとの指摘もあります。

 

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「歴史的にキャピタルゲイン税率の変更と株式市場の動きには「相関性がない」と指摘。「投資家が増税案に反応するのに伴い株式市場の不安定な動きが多少継続する可能性は排除できないが、かなり短期間で終わるだろう」とした」(UBSグローバルウェルス・マネジメントのアナリスト)

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2013年と1987年の増税後の6カ月間にS&P総合500種は大幅上昇し、1976年と69年の増税後の6カ月間は下落した

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実際、今回の増税対象は約50万世帯にとどまります。

今後も、米国株のトレンド(上昇基調だが、リスクが近づいてきており、今年後半以降は注意が必要)には影響ないと考えます。

 

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投資の神様バフェットの警句を125個紹介。『バフェットの教訓』【書評】

『バフェットの教訓』は、投資の神様ウォーレン・バフェットの警句を125個紹介しています。

著者は、バフェットの息子ピーターの元夫人メアリー・バフェットと、バフェット家の親しい友人のデビッド・クラークです。二人はバフェットの弟子であり、彼の投資法や投資哲学に詳しいため、バフェットの教訓がわかりやすく解説されています。

 

今回の記事では、学びがあったと思った教訓をいくつかピックアップしてご紹介します。

 

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No.9 地下鉄で通勤している連中の助言を<ロールスロイス>での乗りつけてきた連中がありがたく拝聴するような場所は、ウォール街以外には存在しない」

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大成功し巨万の富を築いた事業化が、自分で投資する金のない貧しい株屋の助言を受け入れる状況に、バフェットは違和感を感じてきました。「それほどありがたい助言を顧客に与えられるなら、なぜ株や自身は全員金持ちになっていないのだろうか?」と。そこから、自分の金で自身を金持ちにせず、他人の金で他人を金持ちにしようとするような人は、疑ってかかった方がいいと考えます。というのも、アドバイスを聞けば聞くほど、株屋に手数料が入る仕組みだからです。そして、金融アナリストの事業予想は見ないということです。

 

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No.16 めざましい結果を得るのに必要なのは、必ずしもめざましい行為ではない

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投資で金持ちになるにしても、一晩でなる必要はないといいます。

 

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No.38 ベン・グレアムとフィッシャーを読みなさい。年次報告書を読みなさい。そして、ギリシア文字が入ったような方程式を使うのはやめなさい

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バフェットの最高クオリティの企業の株を長期保有する勝利の方程式は、グレアムの割安購入と安全マージン確保、フィッシャーの最高クオリティの企業の株を買って永久保有を合体させた考え方です。この方程式で、グレアムやフィッシャーよりも富を積み上げたのです。ウォール街では、グレアムやフィッシャーを読んだこともない人たちが、ギリシア文字の入った難しい方程式を使いたがる傾向があるといいます。

 

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No.51 良い経営者は朝目覚めたとき、開口一番、「さあ、きょうは張り切ってコストを削減するぞ」などとは言わない。これには、「きょうは張り切って息をするぞ」ぐらいの意味しかないのである

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潜在的なトラブルが現実になる前に対応しておくことが良い経営者である。初めからコスト低く保っていれば、競争でも勝てるし、おのずと利幅が大きくなります。もし、ある企業がコスト削減計画を推進している、という記事を見たら、その企業が今まで低コストに対する努力を怠ってきたと理解していい、ということです。このような経営陣が、株主に大きな利益をもたらせるのだろうか、という指摘です。

 

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No.58 予測が教えてくれるのは、未来のことではなく、むしろ予測者のことである

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業績予測など予測を仕事とする人は、大多数が雇い主の関心に左右されます。雇い主が悲観論を展開したければ、それに合わせたレポートを書きます。楽観論が必要となれば、楽観的な見通しを出します。彼らが持っているのは、未来を移す水晶玉ではなく、「毎月の支払いに追われる住宅ローンと、大学への進学を控えた子どもたち」といいます。

 

つまり、ウォール街は顧客による頻繁な売買を実施させるため、顧客のポートフォリオ組み換えの口実を作る必要が出てきます。だから、予測者が金利上昇を予測すると、投資家は株式を売り、金利低下を予測すると、株式を買います。企業業績予測もそうです。こういったウォール街専属の予測者がこの行動をとるのは、雇用者を考えれば自然です。ただ問題として、頻繁な売買が結局富の蓄積につながらないと指摘します。

 

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No.63 50から75の銘柄管理は、わたしの手に余る。ノアの箱舟式の投資をすれば、結局は動物園みたいなありさまになるだけだ。私は数銘柄を大量に持つのがいい

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50銘柄に分散投資した場合、一銘柄の分析に割ける時間と能力は限定されます。だから、バフェットはひとつの銘柄に大金を投じます。なぜなら、絶好の投資のチャンスは、その数が少なく、頻度も低いためです。

 

この中では、特にNo.51やNo.58が特になるほどと感じました。

No.51のコスト低減に関しては、確かにその通りです。常にやっておくべきことであり、それは大きくアナウンスする内容でもありませんね。

 

No.58のウォール街の構造的な理由から、彼らの予測は信用できない、といった点は、山崎元さんの証券会社の言うことは信用しないほうがいい、と近いものがあります。

 

ネット証券で運用するリテラシーの高い人でも、証券会社所属のアナリストによる経済指標予測や、業績予測などは目を通すと思います。それら参考にするのはいいと思いますが、それに影響されて売買するのは、得策ではありません。

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21世紀に有力なグーグルの戦略。『フリー』【書評】

今更ながら、『フリー <無料>からお金を生み出す新戦略』を読みましたので、内容ご紹介します。

著者は、「ロングテール*」の名付け親、クリス・アンダーソンです。 

*インターネットにおける販売手法。主な売上げを占めるヒット商品以外に、販売機会の少ないニッチ商品を幅広く取り揃えることで、全体の売上げを大きくすること

 

まずフリーの歴史として、カミソリの替え刃・ジレットにさかのぼります。そしてフリーを以下に大別し、フリーの世界を整理します。

 

1.直接的内部相互補助

2.三者間市場

3.フリーミアム

4.非貨幣市場

 

順に内容を見ていきます。

「1.直接的内部相互補助」は、お金を取る他商品と合わせて販売し、フリーを補填する方法です。例えば、「DVDを一枚買ったら、二枚目はただ」のような売り方です。

「2.三者間市場」は、第三者がお金を支払うが、多くの人々にはフリーとして提供されます。例えば、テレビやラジオなどです。メディアの制作物はタダ同然で消費者に提供され、広告主から費用を集めます。

「3.フリーミアム」は、フリーによって人をひきつけ、有償商品に誘導するものです。例えば、Evernoteの無料版でユーザーを集め、有料版で課金するのです。

「4.非貨幣市場」は、贈与経済、無償の労働などがあります。これは、対価を期待しないものです。例えば、ウィキペディアがこれに当てはまります。

 

またグーグルの例から、21世紀に有力な戦略を説明します。

グーグルは、以下のように発展してきました。

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  1. 1999~2001年 ウェブが増えるにつれ品質を落としていったほかの検索エンジンとは異なり、ますます磨かれていく検索エンジンを提供した
  2. 2001~2003年 広告主が自分たちでキーワードやコンテンツにマッチする広告を作るようにしむけ、もっとも目立つ広告位置をめぐって広告主同士を競り合わせた
  3. 2003~現在 事業を拡大し、さまざまなモノやサービスを生み出し、グーグルと消費者の結びつきを強くしている。広告モデルを他のモノやサービスにも適用していくのは当然の成り行きだが、消費者がいやな思いをするようなやり方はしない

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この歴史の中で、グーグルはフリーをベースに資産を築いてきました。

 

では、そもそもなぜグーグルではフリーが当たり前なのか。それは「最大の市場にリーチして、大量の顧客をつかまえる最良の方法だから」です。これをグーグルでは「最大化戦略」と呼びます。それが可能になるのは、情報市場で限界費用がゼロになるからです。

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何をするにしても、分配が最大になるようにするのです。言いかえると、分配の限界費用はゼロなので、どこにででもものを配れるということです

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大量の顧客にリーチすることは、目の前の売上につながるだけではなく、既存製品の品質向上、新製品の開発にも役立ちます。

 

例えば、だれかがブログをポストするたびに、グーグルのソフトウェアがそれをインデックス化します。それにより、グーグルの検索精度は向上します。 

また、ユーザーがグーグルマップを使用するたびに、ユーザーの行動情報を入手できます。Gmailのメールやり取りは、ユーザー同士のネットワークを知るヒントとなります。これらがすべて、グーグルの製品開発や、広告販売に役立ちます。

 

これにより、自社の優位なポジションをさらに強固にしていくのです。

 

では、このような世界で、企業はどうしていったらいいのか。

それには、フリーの万有引力ともいえる法則がポイントです。「低い限界費用で複製、伝達できる情報は無料になりたがり、限界費用の高い情報は効果になりたがる」といいます。

この引力については、抵抗するよりも活かす方法を模索することが大事だと説きます。そして、潤沢になった製品には価値がなくなり、価値は他へ移ってしまいます。そのため、新たな希少を模索し、そちらでのマネタイズが有効な戦略方向性だといいます。

 

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山崎元「FIREにおける3つの論点」

楽天証券経済研究所客員研究員 山崎元さんの「FIREにおける3つの論点」という動画配信がありました。生き方含む一つの意見として参考になったため、内容をご紹介します(こちら

 

動画の内容は、昨今よく聞く「FIREを目指す!」という論調に対し、FIRE実現の方法をの説明した上で、山崎元さんが私見を述べて締めくくるものです。

 

結論は、

・FIRE実現の方法:運用利回り年率4%の前提で、手取り収入の50%で生活、50%を投資した場合、19年目に資産が生活費の25倍に到達。そして、資産の利回り4%で暮らすと資産額維持可能(FIRE達成)

・山崎さんのメッセージ:FIREだけを理想として貯蓄と投資にいそしむのは、人生としてもったいないのでは。教育投資など、収入の50%も投資して19年かかるのであれば、教育投資など、人生を豊かにするための投資をすることも検討したほうがいいのでは

 

 

FIREのメリットと実現方法

FIREのメリットとして、以下を挙げています。

・安心・余裕

・仕事にしばられない

(お金の余裕があれば、やりたくなかった仕事をしなくてよかったのにetc)

 

そして、FIREの実現方法として、以下説明しています。

 

前提:運用利回り=年率4%

1)手取り収入の50%で生活、50%で投資

2)19年目に資産が生活費の25倍になる

3)資産の利回り4%で暮らすと資産額維持できる

 

まず前提ですが、もともと米国で起きたムーブメントであり、米国の書籍に基づくと、おおよそ年率4%の利回りが前提です。ただ日本のゼロ金利では、年率4%は難しいです。そのため、国内外の株式投資が必要です。

またその際、長期的な運用利回りの基準として4%が妥当と述べます(機関投資家が運用計画立てるときの内外株式の期待リターン5%で、税引き後4%のため)。それ以上を目指すのは、危険を伴うとも指摘しています。

 

上記「1)手取り収入の50%で生活、50%で投資」でシュミレーションすると、19年目に生活費の25倍に達します。この25倍がポイントです。

生活費の25倍のお金があれば、資産が4%で収益をもたらしていけば、資産が減らない状態ができる。つまり働かなくても暮らせる(FIRE達成)となるからです。例えば、年間400万円生活費がかかると1億円あればいいということです。

 

逆に言えば、今資産が5,000万円ある場合、 25倍で割ると生活費に充てられる分は年間200万円となります。

また、FIREの意義として、収入源を「労働者としての収入」だけでなく、「資本家としての収入」を持つことも挙げています。ピケティが、後者の方が成長率が高く、経済格差の拡大傾向を指摘したものです。

 

FIRE目指すことの功罪

山崎さんとしては、昨今のFIREムーブメントに対して、「ありきたりながら」と前置きしつつ、以下のポイントを述べられています。

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1.「(自己)教育」、「経験」への投資の遅れ

・教育投資は早い方が効果が大きい

2.人生を、いつ、どのくらい、楽しむか

→「自分への投資」と「金融資産投資のバランスが大事」

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既述のシュミレーションだと、FIREは所得の半分を投資して、19年たってやっと達成できるものです。一方、収入の半分を別に使ったらどうだったのか、の比較も大事だと述べます。

 

経験によって、生きてる上での豊かさが変わります。だから、収入の50%も貯蓄しないで、広い意味での自己投資に回し、もっと有効にお金を使う道もあるのでは、というご意見です。その理由は、教育投資は早くやった方が、その効果を長く享受することができるからです。

 

私は、必ずしも教育投資ではないにせよ、投資以外の別の支出にお金を使ったらどうなったのか、という比較は妥当と考えます。「2.人生を、いつ、どのくらい、楽しむか

」を考えるという点です。

 

現在の私のライフステージでいえば、娘が3歳と1歳でまだ小さいので、娘との時間をどう楽しむかが重要です。

もちろん、皆さんいろんな考え方があっていいと思います。ただ、もし最近「FIRE目指して少し視野が狭くなってしまっているかもな。。、」と思う方がいらっしゃれば、ご自身の価値観に照らし合わせ、改めて妥当なお金の使い道を比較検討してみてはいかがでしょうか

 

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セルインメイ(Sell in May)が意味するところ

投資のアノマリーで「Sell in May」があります。今回、その意味するところを考えました。

 

結論

・「Sell in May」は、「6月以降相場が下がるので5月には売却して離れたほうがいいが、9月は市場底打ちするので戻ってきた方がいい」という格言です。

・しかしS&P500の実績を見ると、「6月から下げ、9月頃から上昇」が当たることは多くありません。

・ただ、過去41年間のうち約8割の年は、5月より10月の株価が上回っていました。そのため、たとえ6月以降株価が下がったとしても、10月には回復することが多いと思って、ブレずに積み立てを続けることが大事です

アノマリーとは

まずアノマリーとは、理論的根拠がないが、よく当たる相場の経験則です。Sell in Mayは、野村證券によると、6月以降相場が下がるので5月には売却して離れたほうがいいが、9月は市場底打ちするので戻ってきた方がいい、という格言です。

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米国の格言で、1月から5月にかけて株式相場は上昇、6月から下げる傾向があることから、5月には株式を売って相場から離れたほうが良いという意味。英語では「Sell in May and go away」、但しこれに続けて「But remember to come back in September」とあり、9月頃には株価が底を迎える傾向があることから、そのころに再び市場に戻ってくることを忘れないように、としている」

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Sell in Mayは当たるのか

まず、この経験則はどれだけ的を得ているのでしょうか。

S&P 500の月別終値ベースを2011年から見てみると、必ずしも6月から下げ、9月頃から回復しているわけではありません。

 

あてはまっているといえるのは、過去20年間で以下の8つの年です。

・2000-2010年の10年間:2001(黄土色)、2002(水色)、2004(橙色)、2006(黄色)、2010(茶色)

・2011-2020年の10年間:2011(灰色)、2019(水色)、2013(青色)

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20分の8なので、半分以上の年は「6月から下げ、9月頃から上昇」とはなっていません。特に過去10年で見ると、リーマンショックがあったこともあり、当てはまったのは3年にとどまりました。

 

また、1980年から2020年の41年間で9月終値が5月終値を上回った年をカウントすると、14年しかありませんでした。つまり、34%です。

 

まとめ

結局のところ、「まあアノマリーだから当たるときもあるけど、当たらない時もあるよね」という話です。

 

しかし、アノマリーの説明をもう一度よく見ると、「9月頃に戻ってきたほうがいい」と言っています。その意味は「10月以降も上昇するから、9月頃までには戻ってきておいてね」とも受け取れます。

 

実際、先ほどの41年間で5月終値より10月終値が上がっている年は、32ありました。つまり、約8割の年は、5月終値以降、10月終値段階では上昇して終わっています。

 

これは、期間が長ければ株価は徐々には上がっていきますので、ある部分当然ですが、心の支えにはなると思います。たとえ6月以降株価が下落し不安になるようなときでも、「過去41年のうち約8割は10月には回復しているのだから、大丈夫」と思うことができ、勇気づけられるのではないでしょうか。少なくとも私は、勇気をもって積立買付を継続できると思います。

 

 

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セクターローテーションと個人投資家のオプション

経済再開への期待や米国長期金利の動きから、セクターローテーションという言葉を最近耳にすることも多いと思います(例えばこちらのUBS記事

 

そこで今回は、セクターローテーションの考え方を踏まえ、個人投資家が取れるオプションを検討します。

 

結論としては、以下がオプションで、私は3)の方針です。

 

1)セクターローテーションは気にせず、自分の方針を貫く

2)景気局面の変化に合わせて、保有銘柄を組み換え(売却・買付)

3)景気局面の変化に合わせて、保有銘柄に組み入れ(買付オンリー)

4)セクターローテーションのためETFを積立買付

 

目次

セクターローテーションとは

セクターローテーションとは、野村証券によると「景気の動向を把握した上で、景気の局面変化ごとに、有望な業種別銘柄群に投資対象を切り替えていく投資戦略のこと」です(詳細

 

セクターローテーションの分かりやすい図がありますので、楽天証券主催の勉強会「米国株式投資戦略を組み立てよう!」(2021年2月26日 講師:広瀬隆雄さん)の資料から引用します。景気の強弱×金利の高低で株価が上がりやすいセクターを分類し、時計回りのようにローテーションするという考え方です

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景気循環とセクターローテーション

とはいえ、今は景気循環のどこにいて、どの銘柄に切り替えるのがいいのか。

 

まず景気循環の考え方に立ち戻って整理します。

そもそも景気は、春(回復)、夏(加熱)、秋(減速)、冬(後退)をこの順番で繰り返します。

 

FRBは、3/16-17のFOMCでゼロ金利の金融政策と、量的緩和策の現状維持を決定しました。また、参加者18人のうち2023年まではゼロ金利維持されるとの見通しが大勢でした。ただ、昨年12月には2023年中に利上げを見込む参加者が2人だったのが、今回7人に増えました。また、2022年中に利上げを見込む参加者も前回1人から4人に増えています

こちら

 

FOMCで一部参加者から利上げ見通しが示されているのは、景気回復によるインフレ懸念が高まったためです。したがって、以下の表でいう春~夏にあたると考えられます。

 

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SBI Bond Investment Managementより

では次に気になるのが、「2021年内は春が続くと思っていいのか」、「夏・秋に切り替わるタイミングはいつか」。つまり、「いつ景気局面が変わるのか」です。というのも、セクターローテーションは、「景気の動向を把握した上で、景気の局面変化ごとに、有望な業種別銘柄群に投資対象を切り替えていく」戦略だからです。

 

しかし、この「景気の動向を把握」し、「局面変化ごとに」というのが、非常に難易度が高いのです。例えば、プロは以下のような見解を示しています。

 

楽天証券勉強会の講師 広瀬さん

金利上昇局面ではグロース株(ハイテクetc)は弱く、景気が強く、金利上昇局面では、工業株、素材株がいいと説明されています。また、コロナでの外出規制後に消費が盛り上がる、旅行、レジャーなどもいいといわれます。

 

・冒頭UBSの記事

昨年まではハイテクが市場をけん引、次に来るのは「航空・ホテル、娯楽」など挙げています。

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昨年のハイテク・セクターの反発のほかに、過去3カ月でパフォーマンスが好転したセクターもある(エネルギーや資本財など)。景気敏感株に対する投資家の期待感は、新型コロナ危機前よりも今の方がかなり高くなっていると思われ、現在の業績回復予想をさらに上回るのは難しそうだ。次のローテーション先は、航空、ホテル、娯楽などの伝統的なサービス・セクターになりそうだ。2021年下期から始まるワクチンの集団接種の恩恵を受けやすいとみられるためだ。

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・JP Morgan

今年春から夏にかけて景気回復が続き、バリュー株、景気敏感株、出遅れ株が上がるとみています。 

 

まず景気回復の継続を予測する背景には「家計の消費が大きく拡大し、企業の生産活動も活発になる」ためです。

 

下記左図の、コロナによる外出制限等で抑えられた家計支出が今後盛り上がるとの見立てです。また右図では、製造業PMIでは、新規受注指数が改善基調かつ高水準な一方、完成品在庫指数は低水準です。そのため、今後も製造業の生産が回復基調で続くとみています。

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JP Morgan Asset Management - Quarterly Perspectivesより

次に、株価が上がるとみるセクターですが、2021年1-3月の各資産のリターンを昨年比でみると、エネルギー、金融、バリュー株式などが上位です。これらは、昨年パフォーマンスが冴えなかった資産です。下位には、金や米国国債などの安全資産に加え、グロース株など昨年大幅に上昇した資産が並びます。

 

昨年「withコロナ」銘柄が上昇しましたが、経済状況や企業業績、FRBの金融政策について、投資家の見方が昨年から変化しました。その結果、今年は1-3月に上がったような「脱コロナ」銘柄、中でもバリュー株や景気敏感株が、少なくとも春~夏の間は上がるとの見立てです。

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JP Morgan Asset Management - Quarterly Perspectivesより

 

これを受けて、セクターローテーションに沿って、バリュー株や景気敏感株を買おう!と思うかもしれません。でも結局問題は、「いつか?」という点です。言い換えると、それは結局いつ「景気局面が変わるのか」と、それを受けて「いつ買い付けるべきか」がわからないという点です。後者は、セクターローテーションに限らない、投資の根本的な問題ですので、今回は前者に着目します。

 

ちなみに、上記JP Morganのレポートでは、以下を理由に、早ければ秋冬にかけて、世界景気の加速は落ち着くとみています(ただし景気後退ではなく、回復は継続)

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仮に欧米の経済正常化が順調な場合、世界景気の加速は早ければ今年の秋冬に一服し、来年にかけて緩やかに減速する可能性があると考えます【左図】。これは、①経済正常化やリベンジ消費がある程度進むと、その後の景気拡大ペースは一時ほどではなくなる、②米国の追加対策の効果が徐々に低下する、③世界の異例の景気刺激策が段々縮小していく、などが背景です。

(中略)

尤も、仮に今年の秋冬に景気拡大の「加速」が止まり、グローバル製造業PMIがピークアウトしても、引き続き景気は底堅く、景気後退が迫るとはみていません。但し、過去は「加速」の終了後に株価の上値が重くなる傾向がありました

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これでも、先ほどからの論点である「具体的にいつ景気局面が変わるのか」、それを受けて、結局のところいつローテーションに備えて動くのか(動かないのか)がわからないままです。 

 

では、プロでない個人投資家はどうしたらいいのか。以下まとめで、個人投資家のオプションに関する私見を述べたいと思います。

まとめ

オプションとしては、以下があると考えます。

 

1)セクターローテーションは気にせず、自分の方針を貫く

2)景気局面の変化に合わせて、保有銘柄を組み換える(売却・買付)

3)景気局面の変化に合わせて、保有銘柄に組み入れる(買付オンリー

4)セクターローテーションのためETFを積立買付

 

それぞれ内容を見ていきます。

 

1)セクターローテーションは気にせず、自分の方針を貫く

長期保有・配当目的で連続配当株を持っている限り、景気循環によるリターンへの影響は軽微だから、気にしないという考え方です。

 

この時のポイントは、『本気でFIREをめざす人のための資産形成入門』の穂高唯希さんがいう心地よく継続できるスタイルを築いているかどうかです。

 

景気局面によっては評価額が大幅に下がったときにも、自身の投資方針に迷いがない強靭なメンタルの持ち主であれば大丈夫でしょう。そうでなければ、景気局面の変化があっても、評価額がそこまで下がらないポートフォリオを中心に据えるなど、準備しておくことが大事です(ディフェンシブ銘柄を中心とするなど)。

 

2)景気局面の変化に合わせて、保有銘柄を組み換える(売却・買付)

景気局面の変化に合わせて、保有銘柄の組み換えを行うオプションです。

 

この場合、繰り返しで恐縮ですが、最適な売買のタイミングがわからないため、損失のリスクがあります。当然儲けあれるチャンスもあるでしょう。ですので、そのリスクを負うことをいとわないのであれば、これも一つの方法です。

 

ちなみに、ハワード・マークスは『市場サイクルを極める』で、景気局面を見極めるためには、以下が参考になるといいます。

 

市場上昇局面

・経済関連の明るいニュースが目白押し

・好調な企業業績

・証券市場が強気になる

・リスクへの意識が希薄になる

・全体として投資家が欲深くなる

 

市場下落局面

・景気減速などのネガティブなニュースが多数出る

・証券市場が弱気になる

・リスクをとると損失を出す、と考えるようになる

・恐怖が恐怖を呼び、売りが優勢となる

・市場下落の状況がずっと続き、さらに悪化するのでは悲観的になる

 

3)景気局面の変化に合わせて、保有銘柄に組み入れる(買付オンリー

2)との違いは、保有銘柄の売却と買い付けによる組み換えではなく、買付のみの点です。

 

景気局面の変化で値下がりトレンドが続く銘柄は、仕込み時だともいえます。ですので、「長期保有したいが、割高だと感じていた株」を常にウォッチしておくのがポイントです。そして、いざ景気が変化してきたタイミングで、積立買付を行うのです。当然、景気局面が変わるタイミングの見極めや、その期間を当てることは困難です。ですので、買付余力を見ながら、何か月あるいは何年かに分けて積立購入するのがよいと考えます。

 

売却をしないのは、「景気局面の変化のここ!」という最適タイミングがわからないためです。また、長期保有投資家にとっては、そもそも売却という選択肢はよほどのことがなければありません。

 

4)セクターローテーションのためETFを積立買付

とはいえ、景気局面の変化であおりを受けることを避けたい、と思われる方は、セクター別のETFを買うオプションもあります。

 

米国株約3,500銘柄に投資するETF「VTI(バンガード・トータル・ストック・マーケットETF)」などすでに複数セクターに分散しているので、そういったETF中心に保有している人にとっては、取り立ててセクターローテーションを意識する必要はないと思います。ただ、気休めでも購入してみたい方は、以下など検討してみてはいかがでしょうか。

 

好況期

・一般消費財セレクト・セクターSPDRファンド(NYSEARCA:XLY)

後退期

・エネルギー・セレクト・セクターSPDRファンド(NYSEARCA:XLE)

不況期

・ヘルスケア・セレクト・セクターSPDRファンド(NYSEARCA:XLV)

・生活必需品セレクト・セクターSPDRファンド(NYSEARCA:XLP)

回復期

・金融セレクト・セクターSPDRファンド(NYSEARCA:XLF)

・テクノロジー・セレクトセクターSPDRファンド(NYSEARCA:XLK)

 

ちなみに、私は「3)景気局面の変化に合わせて、保有銘柄に組み入れる(買付オンリー)」で行きます。投資方針が、配当目的の長期保有だからです。

 

ただし、かなり消極的なスタンスです。局面の変化を予測できないので、下手に予測して高値掴みするなどを避けるため、あまり意識しすぎず、大局的なトレンドを見ながら買付する方針です。

 

今のポートフォリオはディフェンシブ寄りです。

ヘルスケア・消費安定株等の青色が54%、ハイテクが23%、工業が23%です。一方、エネルギー株はゼロ、金融株も1%とごくわずかです。ですので、直近株価上昇が著しかったエネルギー株や金融株の恩恵は受けられていません。ただ、安定的な損益とはなっています。

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オプション3)の考え方でいえば、今後はセクターとしては低迷の可能性があるハイテク株をウォッチしていきます。何年かの単位かもしれませんが、割安なタイミングがあれば、安定的な配当が見込まれるようなものに限り、ポートフォリオ組み入れを検討していきます!

 

 

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資産形成における50代以降の出口戦略

先日勤務先の資産運用セミナーを受けました。そこからの学びを紹介します。

セミナーの内容は、よくある信託銀行による確定拠出型年金(DC)の運用アドバイスです。ただ、あえて参加したのは、50-60代向けセミナーがあり、エグジットタイミングのヒントが得られるかもしれない、と思ったためです(私自身は30代ですが)。

というのも、いろんな資産運用の指南が、たいてい「『長期』、『積立』、『分散』で、できるだけ若いころから始めればいいです、以上!」だからです。そのため、「最後はどうしたらいいの?」の答えが気になっていました。

今回のセミナーテーマはDCのため、退職しDCを受領した後の、資産全体を含む最終的なエグジット(出口)についての議論はありません。ただ、資産運用の基本として出口戦略で気を付けるべき点は、言及されていました。ですので今回、そこでの学びを、資産運用の最終フェーズに生かせないか考えました。

結論としては、退職後の想定資産額からみて、保有資産を取り崩しながら生活する必要がありそうな人は、退職が視野に入ってくる50-60代以降、徐々に安定運用へのシフトダウンを行うべし、です。

 

セミナーのポイント

1.期間、資金準備、投資の理解度を踏まえ、リスク許容度を考える

2.定期的にリバランスする

 

1.期間、資金準備、投資の理解度を踏まえ、リスク許容度を考える

期間ですが、運用期間が長いほど、リターンのブレが小さくなります。ですので、残りの運用期間が長い20代の方が、短い50代よりもリスクをとった運用が可能です。

 

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資金準備については、例えばほかの運用口座に定期預金があるのであれば、DCでの運用はリスクをとれる、といった形で、運用全体像を見てリスク許容度の検討が必要、ということです。

 

また、投資の理解度が高ければ、それに合ったリスクの高い商品も検討可能ということです。

 

2.定期的にリバランスする

市況の変化によって、商品の保有比率が変わります。それを、最低年に一回はリバランス(保有商品の組み換え)しましょう、という基本的なお話です。

 

特に、運用期間が短くなってきた50-60代では、知らぬ間にハイリスク・ハイリターンの投資になっていると、もしリーマンショックレベルの下落が起こった場合に、資産が大きく減ってしまいます。

 

例えば、株式50万円、債券50万円で積み立てても、株価が3倍になった場合、株式150万円、債券50万円となります。もしこのタイミングでリーマンショックが起こり、株式が半値になると、株式75万円に減ってしまいます。DCでのエグジットが近い50-60代でこうなると、資産が減ったままでの受け取りとなります(10年延長しての受け取りが可能なものもあります)。

 

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過去の○○ショックで市場が回復するまでにかかった期間を見ると、数年6年以上かかる場合もあります。

2000年            ITバブル崩壊      3年11カ月

2007年            リーマンショック       6年2か月

2015年            チャイナショック       2年

2020年            コロナショック         7か月

 

そのため、DCでいうとエグジットまで10年を切った50代では、徐々に安定運用にシフトした方がいい、と考えられます。端的には株式比率を減らし、債券を買い増すなどです。

 

まとめ

上記学びの最大のポイントは、投資の残り期間を踏まえたリスク許容度の認識と、それを踏まえた安定運用へのシフトダウンです。

 

まず、60-70代での退職後の資産・運用状況について、大まかに以下のようなタイプが想定されます。

 

1)既に安定運用にシフトしてきている人

2)安定運用にシフトしていない人(=許容度以上にリスクをとるポートフォリオとなっている人)

   A.年金+インカムゲイン(配当等)で生活に支障なく、株価が下がろうが、保有金融商品を取り崩す必要がない人

   B.年金+インカムゲインでは生活費が賄えず、保有金融資産の取り崩しを行いながら、生活する人

 

2)-Aは、連続配当株などを保有し、景気が悪化しようが、配当が振り込まれれば、保有資産で死ぬまで生活できます。

 

このタイプの人の悩みは次に、「死ぬときに資産をどうしておくのがいいか」になりそうです。例えば、

 

・本人が資産を使いきりたい

・家族に残したい

・社会慈善活動に使いたい

 

など。おそらく「家族に残したい」が一番一般的かと思いますので、その際には、次に「どうやって相続するのが一番効率的か」という検討に入ると思います。

 

ただいずれにせよ、2)-Aの人は生活の不安は小さいので、大きな問題はないと思います。あるとすれば、保有銘柄のポートフォリオによっては、景気悪化で配当が止まるようなケースです。これは、連続配当株など中心に積み立てておくことで、解決できると考えます。

 

一方、2)-Bの人は手当が必要です。月々、保有する金融資産を切り崩しての生活です。ですので、それがいつまで持つのか、という心配があるでしょう。

 

また切り崩すときは、保有商品の売却タイミングに時間的余裕がないため、含み損を抱えたままの商品でも、生活費が必要であれば損を確定せざるを得なくなります。そうすると、「利益が出ている間に確定しておけばよかった」と後悔することになります。これが、私が冒頭懸念していた、エグジットの失敗です。

 

こうならないために、ここでDCセミナーのリバランスの話を思い起こします。つまり、年齢(この先の運用期間)を踏まえたリスク許容度を念頭に、適切なリバランスを事前に行っておく必要があるのです。

 

すなわち、退職が視野に入ってくる50-60代以降、リスク資産の割合を下げるなど、徐々に安定運用へのシフトダウンを行う方がいいということです。

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