Mikeの投資ブログ

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セクターローテーションと個人投資家のオプション

経済再開への期待や米国長期金利の動きから、セクターローテーションという言葉を最近耳にすることも多いと思います(例えばこちらのUBS記事

 

そこで今回は、セクターローテーションの考え方を踏まえ、個人投資家が取れるオプションを検討します。

 

結論としては、以下がオプションで、私は3)の方針です。

 

1)セクターローテーションは気にせず、自分の方針を貫く

2)景気局面の変化に合わせて、保有銘柄を組み換え(売却・買付)

3)景気局面の変化に合わせて、保有銘柄に組み入れ(買付オンリー)

4)セクターローテーションのためETFを積立買付

 

目次

セクターローテーションとは

セクターローテーションとは、野村証券によると「景気の動向を把握した上で、景気の局面変化ごとに、有望な業種別銘柄群に投資対象を切り替えていく投資戦略のこと」です(詳細

 

セクターローテーションの分かりやすい図がありますので、楽天証券主催の勉強会「米国株式投資戦略を組み立てよう!」(2021年2月26日 講師:広瀬隆雄さん)の資料から引用します。景気の強弱×金利の高低で株価が上がりやすいセクターを分類し、時計回りのようにローテーションするという考え方です

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景気循環とセクターローテーション

とはいえ、今は景気循環のどこにいて、どの銘柄に切り替えるのがいいのか。

 

まず景気循環の考え方に立ち戻って整理します。

そもそも景気は、春(回復)、夏(加熱)、秋(減速)、冬(後退)をこの順番で繰り返します。

 

FRBは、3/16-17のFOMCでゼロ金利の金融政策と、量的緩和策の現状維持を決定しました。また、参加者18人のうち2023年まではゼロ金利維持されるとの見通しが大勢でした。ただ、昨年12月には2023年中に利上げを見込む参加者が2人だったのが、今回7人に増えました。また、2022年中に利上げを見込む参加者も前回1人から4人に増えています

こちら

 

FOMCで一部参加者から利上げ見通しが示されているのは、景気回復によるインフレ懸念が高まったためです。したがって、以下の表でいう春~夏にあたると考えられます。

 

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SBI Bond Investment Managementより

では次に気になるのが、「2021年内は春が続くと思っていいのか」、「夏・秋に切り替わるタイミングはいつか」。つまり、「いつ景気局面が変わるのか」です。というのも、セクターローテーションは、「景気の動向を把握した上で、景気の局面変化ごとに、有望な業種別銘柄群に投資対象を切り替えていく」戦略だからです。

 

しかし、この「景気の動向を把握」し、「局面変化ごとに」というのが、非常に難易度が高いのです。例えば、プロは以下のような見解を示しています。

 

楽天証券勉強会の講師 広瀬さん

金利上昇局面ではグロース株(ハイテクetc)は弱く、景気が強く、金利上昇局面では、工業株、素材株がいいと説明されています。また、コロナでの外出規制後に消費が盛り上がる、旅行、レジャーなどもいいといわれます。

 

・冒頭UBSの記事

昨年まではハイテクが市場をけん引、次に来るのは「航空・ホテル、娯楽」など挙げています。

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昨年のハイテク・セクターの反発のほかに、過去3カ月でパフォーマンスが好転したセクターもある(エネルギーや資本財など)。景気敏感株に対する投資家の期待感は、新型コロナ危機前よりも今の方がかなり高くなっていると思われ、現在の業績回復予想をさらに上回るのは難しそうだ。次のローテーション先は、航空、ホテル、娯楽などの伝統的なサービス・セクターになりそうだ。2021年下期から始まるワクチンの集団接種の恩恵を受けやすいとみられるためだ。

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・JP Morgan

今年春から夏にかけて景気回復が続き、バリュー株、景気敏感株、出遅れ株が上がるとみています。 

 

まず景気回復の継続を予測する背景には「家計の消費が大きく拡大し、企業の生産活動も活発になる」ためです。

 

下記左図の、コロナによる外出制限等で抑えられた家計支出が今後盛り上がるとの見立てです。また右図では、製造業PMIでは、新規受注指数が改善基調かつ高水準な一方、完成品在庫指数は低水準です。そのため、今後も製造業の生産が回復基調で続くとみています。

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JP Morgan Asset Management - Quarterly Perspectivesより

次に、株価が上がるとみるセクターですが、2021年1-3月の各資産のリターンを昨年比でみると、エネルギー、金融、バリュー株式などが上位です。これらは、昨年パフォーマンスが冴えなかった資産です。下位には、金や米国国債などの安全資産に加え、グロース株など昨年大幅に上昇した資産が並びます。

 

昨年「withコロナ」銘柄が上昇しましたが、経済状況や企業業績、FRBの金融政策について、投資家の見方が昨年から変化しました。その結果、今年は1-3月に上がったような「脱コロナ」銘柄、中でもバリュー株や景気敏感株が、少なくとも春~夏の間は上がるとの見立てです。

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JP Morgan Asset Management - Quarterly Perspectivesより

 

これを受けて、セクターローテーションに沿って、バリュー株や景気敏感株を買おう!と思うかもしれません。でも結局問題は、「いつか?」という点です。言い換えると、それは結局いつ「景気局面が変わるのか」と、それを受けて「いつ買い付けるべきか」がわからないという点です。後者は、セクターローテーションに限らない、投資の根本的な問題ですので、今回は前者に着目します。

 

ちなみに、上記JP Morganのレポートでは、以下を理由に、早ければ秋冬にかけて、世界景気の加速は落ち着くとみています(ただし景気後退ではなく、回復は継続)

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仮に欧米の経済正常化が順調な場合、世界景気の加速は早ければ今年の秋冬に一服し、来年にかけて緩やかに減速する可能性があると考えます【左図】。これは、①経済正常化やリベンジ消費がある程度進むと、その後の景気拡大ペースは一時ほどではなくなる、②米国の追加対策の効果が徐々に低下する、③世界の異例の景気刺激策が段々縮小していく、などが背景です。

(中略)

尤も、仮に今年の秋冬に景気拡大の「加速」が止まり、グローバル製造業PMIがピークアウトしても、引き続き景気は底堅く、景気後退が迫るとはみていません。但し、過去は「加速」の終了後に株価の上値が重くなる傾向がありました

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これでも、先ほどからの論点である「具体的にいつ景気局面が変わるのか」、それを受けて、結局のところいつローテーションに備えて動くのか(動かないのか)がわからないままです。 

 

では、プロでない個人投資家はどうしたらいいのか。以下まとめで、個人投資家のオプションに関する私見を述べたいと思います。

まとめ

オプションとしては、以下があると考えます。

 

1)セクターローテーションは気にせず、自分の方針を貫く

2)景気局面の変化に合わせて、保有銘柄を組み換える(売却・買付)

3)景気局面の変化に合わせて、保有銘柄に組み入れる(買付オンリー

4)セクターローテーションのためETFを積立買付

 

それぞれ内容を見ていきます。

 

1)セクターローテーションは気にせず、自分の方針を貫く

長期保有・配当目的で連続配当株を持っている限り、景気循環によるリターンへの影響は軽微だから、気にしないという考え方です。

 

この時のポイントは、『本気でFIREをめざす人のための資産形成入門』の穂高唯希さんがいう心地よく継続できるスタイルを築いているかどうかです。

 

景気局面によっては評価額が大幅に下がったときにも、自身の投資方針に迷いがない強靭なメンタルの持ち主であれば大丈夫でしょう。そうでなければ、景気局面の変化があっても、評価額がそこまで下がらないポートフォリオを中心に据えるなど、準備しておくことが大事です(ディフェンシブ銘柄を中心とするなど)。

 

2)景気局面の変化に合わせて、保有銘柄を組み換える(売却・買付)

景気局面の変化に合わせて、保有銘柄の組み換えを行うオプションです。

 

この場合、繰り返しで恐縮ですが、最適な売買のタイミングがわからないため、損失のリスクがあります。当然儲けあれるチャンスもあるでしょう。ですので、そのリスクを負うことをいとわないのであれば、これも一つの方法です。

 

ちなみに、ハワード・マークスは『市場サイクルを極める』で、景気局面を見極めるためには、以下が参考になるといいます。

 

市場上昇局面

・経済関連の明るいニュースが目白押し

・好調な企業業績

・証券市場が強気になる

・リスクへの意識が希薄になる

・全体として投資家が欲深くなる

 

市場下落局面

・景気減速などのネガティブなニュースが多数出る

・証券市場が弱気になる

・リスクをとると損失を出す、と考えるようになる

・恐怖が恐怖を呼び、売りが優勢となる

・市場下落の状況がずっと続き、さらに悪化するのでは悲観的になる

 

3)景気局面の変化に合わせて、保有銘柄に組み入れる(買付オンリー

2)との違いは、保有銘柄の売却と買い付けによる組み換えではなく、買付のみの点です。

 

景気局面の変化で値下がりトレンドが続く銘柄は、仕込み時だともいえます。ですので、「長期保有したいが、割高だと感じていた株」を常にウォッチしておくのがポイントです。そして、いざ景気が変化してきたタイミングで、積立買付を行うのです。当然、景気局面が変わるタイミングの見極めや、その期間を当てることは困難です。ですので、買付余力を見ながら、何か月あるいは何年かに分けて積立購入するのがよいと考えます。

 

売却をしないのは、「景気局面の変化のここ!」という最適タイミングがわからないためです。また、長期保有投資家にとっては、そもそも売却という選択肢はよほどのことがなければありません。

 

4)セクターローテーションのためETFを積立買付

とはいえ、景気局面の変化であおりを受けることを避けたい、と思われる方は、セクター別のETFを買うオプションもあります。

 

米国株約3,500銘柄に投資するETF「VTI(バンガード・トータル・ストック・マーケットETF)」などすでに複数セクターに分散しているので、そういったETF中心に保有している人にとっては、取り立ててセクターローテーションを意識する必要はないと思います。ただ、気休めでも購入してみたい方は、以下など検討してみてはいかがでしょうか。

 

好況期

・一般消費財セレクト・セクターSPDRファンド(NYSEARCA:XLY)

後退期

・エネルギー・セレクト・セクターSPDRファンド(NYSEARCA:XLE)

不況期

・ヘルスケア・セレクト・セクターSPDRファンド(NYSEARCA:XLV)

・生活必需品セレクト・セクターSPDRファンド(NYSEARCA:XLP)

回復期

・金融セレクト・セクターSPDRファンド(NYSEARCA:XLF)

・テクノロジー・セレクトセクターSPDRファンド(NYSEARCA:XLK)

 

ちなみに、私は「3)景気局面の変化に合わせて、保有銘柄に組み入れる(買付オンリー)」で行きます。投資方針が、配当目的の長期保有だからです。

 

ただし、かなり消極的なスタンスです。局面の変化を予測できないので、下手に予測して高値掴みするなどを避けるため、あまり意識しすぎず、大局的なトレンドを見ながら買付する方針です。

 

今のポートフォリオはディフェンシブ寄りです。

ヘルスケア・消費安定株等の青色が54%、ハイテクが23%、工業が23%です。一方、エネルギー株はゼロ、金融株も1%とごくわずかです。ですので、直近株価上昇が著しかったエネルギー株や金融株の恩恵は受けられていません。ただ、安定的な損益とはなっています。

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オプション3)の考え方でいえば、今後はセクターとしては低迷の可能性があるハイテク株をウォッチしていきます。何年かの単位かもしれませんが、割安なタイミングがあれば、安定的な配当が見込まれるようなものに限り、ポートフォリオ組み入れを検討していきます!

 

 

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