【株価・基礎情報】安定配当確実なコンソリデーテッド・エジソン(ED)【銘柄分析】
今回は、高配当企業コンソリデーテッド・エジソン(ED)の銘柄分析です。
本ブログでは、2045年までに、子育てをしながら無理なく1億円をためることを目標に掲げました。
実現には、保有銘柄に占める高配当比率を高める必要があります。そこで、配当利回りの高い銘柄の分析を行っていきます。
コンソリデーテッド・エジソンは、ニューヨーク州やペンシルベニア州で電力・ガス事業を展開する米公益企業です。46年増配、配当利回り4.2%です。
結論としては、「売上の87%を占めるニューヨーク州で『デカップリングメカニズム』を採用しており、安定収益と株主還元が見込める。今後も大きな株価上昇は見込めないが、配当目的では魅力的なため買付」します。主な理由は以下です。
・売上高は2008年以降、年率-1%と微減。営業利益率は近年20%前後で安定
・売上高の87%がニューヨーク州の電力・ガス提供。「デカップリングメカニズム」*により、安定収益と株主還元が見込める(*電力会社が安定的な収益確保のために、販売電力量と収益を連動させない制度)
・継続的な設備投資の重しに加え、再生可能エネルギーへの投資などもあり、フリーキャッシュフローはマイナスが続く
・有利子負債残高は右肩上がり、ネットDEレシオは1倍を超えるが、財務上の大きな懸念なし
・配当性向は、コロナ影響によるEPS減少で2020年は91%。ただ、目標値は60-70%とされており、今後減少の可能性あり。現状増配余地ありだが、長期的にはペース鈍化の可能性
・トータルリターンは、S&P500とS&P500公益企業指数をアンダーパフォーム
・大きな株価上昇は見込めないが、安定的な配当が得られるため、買付を開始
以降で詳細を見ていきましょう。
目次
指標
主な指標は以下です。特徴は配当利回り5.11%です。
・株価: 73.85ドル
・PER:21.81倍(S&P500 約20倍)
・EPS:3.38ドル(Earnings per Share:一株当たり利益)*直近4四半期合計
・配当利回り:4.2%
・年間配当額:3.1ドル
・配当支払月:2、5、8、11月
・連続増配年数:46年
(Nasdaq HP、Consolidated Edison HPより)
業績
2020年は売上高12,246百万ドルと、コロナ影響で前年から3%減少しました。2008年からの推移は微減で年率-1%です。営業利益率は近年20%前後となっています。
コンソリデ―テッド・エジソンは、ニューヨーク州など1,000万人に電気やガスなどを提供します。
ニューヨーク州での電力・ガス供給が売上の87%を占めますので、全社業績はニューヨーク州次第です。
ただし、ニューヨーク州では「デカップリングメカニズム」*を採用しています。ですので、顧客数や供給キロワット数といった売上数量が、必ずしも売上金額に連動しません。言い換えると、売上向上のために営業をかけても(東京ガスの電力販売に負けないように東京電力が頑張って営業かけるような)、収益が上がるとは限りません。また、過疎地域で世帯数が少ないので撤退する、といったこともできません。販売量と収益を連動させず、電気料金の改定によって、収益が維持できるようになっています。この仕組みにより、電力の安定供給と省エネ推進(後述)を図るのです。
*電力会社が安定的な収益確保のために、販売電力量と収益のデカップリング(連動させない)する制度
これはインフラ企業にありがちな、コスト積み上げベースの料金というだけではありません。株主にもメリットがあります。例えば、日本の環境省による米国カリフォルニア州への視察報告書は以下のように記載しています。
「・電力会社が資本コスト、報酬、株主還元などをもとに設定したRevenue requirement targetをPUC*側がオーソライズし、実際に得られた収益との比較を年に1回行う
・需要家から徴収しすぎた場合、翌期の料金レートを下方修正し、徴収が不足した場合には上方修正させる」“1.米国カリフォルニア州におけるデカップリング制度”より(参照元)
*公益事業委員会(Public Utilities Comissions)
一点目で株主還元も含めている点が注目に値すると考えます。つまり、電力料金に株主還元も含めた形で提案し、当局承認が得られるのです。もちろん、圧倒的に高い収益をあげると、一般市民含む顧客から反発が起きます。ですので、自然と利益水準はマイルドとなります。でもそれでいて、配当利回りが高いというのは、どこまで許容されるのかと若干の疑問を感じます。ただ、株主としては、キャピタルゲイン(売却益)狙いでなければ、おいしい制度といえそうです。
もともと、「デカップリングメカニズム」は、省エネインセンティブの阻害要因を排除する目的もあり導入されています。電力会社が、顧客にもっと電力消費をさせて儲けようというインセンティブを取り除くためです。しかし、そのデメリットとして、上記視察報告では以下のようにも挙げられています。「ただし、電力会社が確実に資本を回収できることから、資本・資産が過剰になる恐れがあり、(規制側の担当としては)必ずしも好ましい制度とは思っていないとのこと」。ですので、どこかのタイミングで見直しが入る可能性がゼロではありません。しかしこの制度がある限りは、安定収益・株主還元が可能とみられます。
キャッシュフローを見ると、営業CFは年率-1%ですが、概ね横這いに近いレベルです。
事業上、電力・ガスインフラの維持費用や設備投資が常にかかる事業です。ですので、投資CFは大きいです。ただ2016、2018年に大きく増加しているのは、以下のためで、一時的な要因です。
*ただし今後売却するそうです(参照元)
2021年以降も、ニューヨーク州での事業向けを中心に、設備投資を緩やかに増加させていく予定です。
再生可能エネルギーについては、比較的取り組みが進んでいます。50年前に既に石炭火力発電から撤退しています。2019年の発電供給力の71%が再生可能エネルギーです。ニューヨーク州が2040年までに、州内の電力を100%クリーンエネルギーによる発電に転換する目標を掲げています。ですので、その実現にある程度コミットした形で、再生可能エネルギーへの投資が進められると考えます。ESG観点での逆風は大きくないのではと思います。
投資が大きいので、念のため安全性を確認します。
有利子負債残高は、2015年あたりから右肩上がりです。2020年で25,079百万ドルです。ネットDEレシオ*を見ると、2015年から一倍を超えていますが、大きな懸念はないと考えます。
*ネットDEレシオ:財務健全性を測る指標。(有利子負債―現預金)÷自己資本
配当・株価
配当は、2012年から年率3%で増配しています。EPSは上昇基調ではありますが、2020年はコロナ影響で下がっています。そのため、配当性向は91%に達しました。ただ、経済活動が再開されれば収益は戻ってくるでしょう。
コンソリデ―テッド・エジソンとしては、配当性向の目標が60-70%の範囲内です。ですので、今年以降は近年の水準かそれ以下の水準に下がると考えられます。まだ増配余地はありますが、長期的にはペースが鈍化する可能性もあります。
株式のトータルリターンは、S&P500とS&P500公益企業指数に比べアンダーパフォームしています。
まとめ
コンソリデ―テッド・エジソンはニューヨーク州で事業売上が87%であり、その業績は「デカップリングメカニズム」次第です。つまり、株主配当含めた電気料金が設定される仕組みのため、今後も安定的に配当を提供してくれます。ただ、株価はS&P500をアンダーパフォームしています。また公益企業であり、急激な株価上昇は見込めませんが、長期的に配当目的で保有するには魅力的な銘柄と考えます。
また、PER21倍(S&P500 約20倍)でそこまで割高ではありません。ですので、長期保有・配当目的で買付を開始します。
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