Mikeの投資ブログ

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【配当利回り5%】グラクソスミスクライン(GSK)R&D強化策が花開けば株価上昇か【銘柄分析】

今回は、高配当企業グラクソ・スミスクライン(GSK)の銘柄分析です。
本ブログでは、2045年までに、子育てをしながら無理なく1億円をためることを目標に掲げました。

mike2020.hatenablog.com実現には、保有銘柄に占める高配当比率を高める必要があります。そこで、配当利回りの高い銘柄の分析を行っていきます。

グラクソ・スミスクラインは、英国最大の製薬企業で、ロンドン証券取引所とNY証券取引所に上場しています。世界第5位のメガファーマの一角です。一般消費者向けの製品ではシュミテクトやポリデントなどが日本では有名です。配当利回り5.1%です。

結論としては、「営業キャッシュフローは拡大基調であり、パイプライン(新薬候補)を見ると今後の業績を下支えしそう。ただ、Abbvieでいう抗リウマチ薬「ヒュミラ」のようなスター製品がなく、進行中のR&D強化方針がどこまで実を結ぶか要注視。短期的な株価上昇や増配は期待しづらいが、配当利回り4~6%は魅力的なため、調整局面で購入方針」とします。主な理由は以下です。

・売上高は2015年以降、年率7%で成長。営業CFも拡大基調

・一般医薬品事業(売上の約3割)の収益性を高め、2022年には売却予定

・売却益を医療用医薬品やワクチン開発の研究開発費(R&D)に充て、新薬開発に注力。また、がん治療薬ベンチャーの買収を行うなどの強化も図っている。新薬開発が花開けば株価上昇可能性あり

・ただし、R&D改革は2013年以降も取り組んでいるが、必ずしもスター製品を生み出せていない。そのため今後は新薬開発における進捗を要注視

・2026年までに売上10億ドル以上が見込めるパイプラインは複数あり、当面の業績は下支えされそう

・近年増配はなし。ただし配当利回り5.11%。また近年4~6%で推移しており魅力的

・株価は過去10年横這い。20年単位だと非常に緩やかには上昇。ただ、S&Pは大きくアンダーパフォーム

・そのため、配当目的で投資したいが、高値で買うと長期的な株価低迷にあう。そうすると心地よく買い付けを継続しづらくなる可能性あり。そのため、今後の利上げの調整局面で大幅値下がりしたタイミングで買付

以降で詳細を見ていきましょう。

目次

指標

主な指標は以下です。特徴は配当利回り5.11%です。

・株価: 39.84ドル

・PER:14.59倍(S&P500 20倍程度)

・EPS:2.73ドル(Earnings per Share:一株当たり利益)*直近4四半期合計

配当利回り:5.11%

・年間配当額:2.078ドル

・配当支払月:2、5、8、11月

・連続増配年数:0年

Nasdaq HP、GlaxoSmithKline HPより)

業績

2020年は売上高34,099百万ポンド、営業利益率18%でした。

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GlaxoSmithKline IR情報を基に作成

売上規模でいえば、世界第5位です。

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AnswersNewsより

売上高推移をみると、2014年までは年率-1%と下降していましたが、15年からでみると7%成長、利益率も持ち直しています。

2013年はノンコアの飲料事業をサントリーに売却、2014年は呼吸器領域などの競争激化で売上は減少しました。その後、近年はConsumer Healthcare(一般用医薬品)やVaccine(ワクチン)事業の強化で売上は成長軌道となっています。

売上構成比でみると、Pharmaceuticals(医薬品)事業は売上成長率1%で構成比を6割近くから50%に下げる一方、成長率9%の一般用医薬品が約3割、成長率11%のワクチンが約2割となっています。

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GlaxoSmithKline IR情報を基に作成

特に一般用医薬品は価格競争が激しい領域です。そのため、規模の経済によりコスト競争力を持たせることが必要です。そこで、スイスの製薬大手ノバルティスと合弁事業を行っていましたが、2018年に完全子会社化しました。さらに2019年ファイザーと一般医薬品事業を統合しました(一般用医薬品では規模世界一)。これにより、風邪薬など大衆薬の地盤を固めました(参照元)。そして現在は、一般用医薬品はバランスの取れたポートフォリオとなっています。

・Oral health(口内ケア):29%

・Pain Relief(痛み止め):23%

・Digestive health(胃腸薬):19%

・Respiratory(咳止め等):13%

・Vitamin, Minerals and Supplements(サプリメント):16%

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GlaxoSmithKline IRより

この一連の動きは、単に一般用医薬品のみに注力していきたいという意図ではありません。一般用医薬品は収益力を上げながら、2022年には切り離し、その売却益を医療用医薬品やワクチン開発力の強化のための研究開発費(R&D)に充てるといいます(参照元グラクソスミスクラインIR情報)。また新薬開発に注力する戦略はすでに着手済みで、2018年にはがん治療薬ベンチャーのテサロを51億ドルで買収しています(参照元)。この買収自体は、高い買い物として株価がその日8%超値下がりしたようですが。。

全社における医薬品領域別の構成比をみると、売上構成比が大きいものは以下です。

・Respiratory(呼吸器薬):11%

HIV:14%

・Shingles(帯状疱疹用ワクチン):10%

各領域内では高シェアの薬もあるのでしょうが、アッヴィでいうヒュミラ(リウマチ薬)、メルクでいうキイトルーダ(がん免疫療法の薬)のような、いわゆるスター選手はいないようです。グラクソ・スミスクラインとしては、この状況を打破すべく、医療用医薬品のR&D強化を進めています。

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AnswesNews記事を基に作成

現在の主要パイプラインは以下です。2022年までにHIVようのCabenuvaやコロナワクチンなどが十億ドルを超える売上ポテンシャルがあるといいます。

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GlaxoSmithKline IRより

また、2026年まででみると、喘息薬(IL-5 LA)や感染症向け抗生物質(gepotidacin)、子宮内膜がん(dostarlimab)などが十億ドルを超えるポテンシャルを有するとしています。

特に、2015年にノバルティスとの事業交換でがん領域を手放していましたが、テサロ買収で今後参入・強化していくとみられます。

しかし、2013年頃もR&D改革とうたっていたようですが、その後スターが生まれてこなかったことを考えると、今回もどこまでが実現可能なのか、注意が必要です(参照元 )。逆に言えば、このような見方をして、あまり期待していない投資家・アナリストも多いとみられます。ですので、R&D強化策が花開いた場合は、株価上昇につながると考えられます。

キャッシュフローを見ると、2015年以降営業CFは成長基調です(投資CFはファイザーとの事業統合などあり2019年に増加)

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GlaxoSmithKline IR情報を基に作成

営業CFマージン(黄色太字)を見ると、Abbvie(水色)やジョンソンエンドジョンソン(濃い青)などと比べると見劣りします。またブリストルマイヤーズ(オレンジ)も上下はしていますが、近年はグラクソ・スミスクラインを上回っています。ただ今後は、一般医薬品事業の分社化がうまくいけば、営業CFマージンは高まると考えられます

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各社IR情報を基に作成

配当・株価

配当は、2015年以降増配なしです。

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GlaxoSmithKline IR情報を基に作成

配当性向は、2019年以降100%を下回ってきています。ですので、今後は業績次第で増配もあるかもしれません。ただ、もし増配がなくとも、近年は配当利回りが安定的に4%~6%で推移しています。ですので、長期の配当目的の投資であれば、この点魅力的です。

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Macrotrends.Netを基に作成

*配当政策は英ポンドベースで実施されるので、米ドルとの為替により増減することに留意が必要です。

 株価は、過去20年で見れば非常に緩やかな右肩上がりですが、10年で見るとほぼ横ばいです。過去5年でS&P500と比較すると、大きくアンダーパフォームしています。

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Yahoo Financeより

この点から、配当収入は期待できるが、参入ポイントを間違うと、10年単位での株価が上がらない、といった目にあいそうです。ですが、20~30年でみれば、緩やかな上昇の可能性はありますので、長期配当目的では、総じて魅力ある銘柄といえるでしょう

まとめ

2015年以降は営業CFが成長基調です。営業CFマージンは競合に見劣りしますが、今後の一般医薬品事業の売却などで高まる可能性はあります。

また、売却益でR&D強化を行う方針です。現在、Abbvieのヒュミラや、Merckのキイトルーダのようなスター製品がありません。しかし、今後はR&D強化を通じて、こうした製品を作り上げる可能性はあります。この点は長期的なアップサイド(株価上昇可能性あり)といえそうです。

加えて、主要パイプラインでは2026年までに売上規模十億ドル以上の製品が出てくる見通しです。それが実現できれば、当面業績の大きな下振れはなさそうです。

懸念点としては、過去2013年もR&D改革とうたって手を打ってきたようですが、現在スター不在で実を結んでいないように見受けられます。ですので、今後はその進捗を追っていくことが重要です。

配当・株価の観点では、配当利回りが近年4~6%で安定しているのが魅力的です。ただ、株価が過去10年横這いで(20年で見れば非常に緩やかに上昇)、S%P500を大きく下回ります。また上記のパイプラインは既に株価に織り込まれているとすると、今後も上昇余地は限られます

したがって、買付のタイミングを気を付けないと、長期での株価低迷にあいそうです。株価が低迷し、含み損が拡大すると、心地よく買い付けを継続するのに心が折れてしまうかもしれません*。そのため、今後の利上げによる調整局面で、大きく値下がりした時に買付しようと思います。

*心地よく継続できる仕組みづくりの重要性は、日本のFIREブーム火付け役の穂高氏も述べています。

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今回は以上です!

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