【PEP】ペプシコの株価・配当・今後の見通し【銘柄分析】
今回は、高配当・連続増配企業ペプシコ(PEP)の銘柄分析です。
ペプシコは、ペプシコーラやトロピカーナなどの飲料や、ドリトスなどのスナック菓子等を製造・販売する大手飲料・食品メーカーです。配当利回り2.9%、49年連続増配です。
結論としては、「北米の売上比率が高く、また世界市場シェアは10%未満のため、新興国でのテコ入れで利益拡大余地あり。さらに、健康志向のブランド買収でポートフォリオを強化し、中長期的な成長の仕込みが進捗。株価はコカ・コーラやS&P500をアウトパフォームし、配当性向はコカ・コーラより増配余地あり。ただし割高感ありのため、調整局面で買付を開始」します。主な理由は以下です。
・売上高は2008年以降、年率4%で成長(コカ・コーラ0.3%)。新興国の売上構成比は28%にとどまる
・飲料での世界シェア9%、スナック7%であり、新興国中心に今後拡大の余地あり
・2018年から10,585百万ドルを投じ、健康志向の強力なブランドを買収し、中長期での成長に向けた仕込みが進捗
・自社で供給網を有することから、今後はサプライチェーンのデジタル化やM&Aによるポートフォリオ強化に投資し、キャッシュ創出の力を継続して高める方針
・配当性向は78%でコカ・コーラの91%よりは増配余地あり
・株価は過去、コカ・コーラやS&P500を大きくアウトパフォーム。現在PER 27倍で割高感あり(コカ・コーラ33倍よりはまし)
以降で詳細を見ていきましょう。
目次
指標
主な指標は以下です。特徴は、連続増配49年です。配当利回り2.89%も高めです。
・株価: 147.13ドル
・PER:27.43倍(S&P500 20倍程度)
・EPS:5.4ドル(Earnings per Share:一株当たり利益)*直近4四半期合計
・配当利回り:2.89%
・年間配当額:4.3ドル
・配当支払月:3、6、9、12月
・連続増配年数:49年
業績
2020年の売上高は70,372百万ドル、営業利益率14%でした。売上高は2008年以降年率4%で成長しています。営業利益率は、近年は14%~16%程度で推移しています。
ペプシコは、スナック等の食品が売上の55%を占めています(右図)。また、お菓子では市場トップ、飲料では多くの製品で市場2位につけているとのことです。
地域別では、北米市場が売上高の6割を占めます。新興国は28%にとどまります。つまり、現状は北米での業績が全社業績を左右します。
事業部門別では、売上の32%がPBNA(北米の濃縮液や飲料完成品)、26%がFLNA(北米のブランド食品やスナック菓子)です。営業利益は、FLNAが45%を占めています。ですので、北米での食品・スナックの販売状況が、全社利益に大きく影響します。
・PBNA:北米の濃縮液や飲料完成品
・FLNA:北米のブランド食品やスナック菓子
・QFNA:北米のシリアル
・LatAm:中南米の食品・スナック・飲料
・AMESA:アフリカ・中東・南アジアの食品・スナック・飲料
このように、現在は北米が屋台骨ですので、逆に言えば、北米以外の地域での成長余地があるといえます。例えば、飲料でのシェアは9%、スナックでは7%にとどまります。市場自体は年率4~5%で伸びますので、シェア拡大により、更なる収益増加が図れます。
具体的には、中国、メキシコ、ブラジルなど市場規模が大きい国で市場シェア拡大の余地が大きくあります。特に飲料では戦略的に投資することで、拡大を図る方針です。
また、過去積極的にM&Aを行ってきました(2018~2020で10,585百万ドル)。その中で、主に以下のようなブランドを傘下に収めてきました(参照元)。
・ジュース「トロピカーナ」
・スポーツ飲料「ゲータレード」
・ドイツの乳業大手「テオ・ミュラー・グループ」
・低カロリーソフトドリンク「Izze」
・ブラジルのココナッツウォーター「Amacoco」
・野菜や果物を使ったスナック「ベア・フーズ」
・イスラエルの炭酸水メーカー「ソーダストリーム・インターナショナル」
清涼飲料水ビジネスのリスクとして、加糖による健康懸念が挙げられます。そのため、飲料・食品で健康志向のニーズにこたえるべく、ポートフォリオを拡充してきました。これを見る限り、中長期的な成長への仕込みが着々と進められているといえます。
キャッシュフローを見ると、営業CFは年率4%で成長しています。投資CFは、製造設備のほかに、自社のディストリビューション網を有するため、サプライチェーンへの投資がかかってきます。近年はサプライチェーンのデジタル化の投資がかさんでいるようです。
営業CFマージンを見ると、13~17%で推移しています。競合と比較すると、ネスレと同水準で、コカ・コーラには大きく差をあけられています。この理由は、ペプシコはスナック菓子の比率が高く、また製造・販売網も有する点があります。また近年は、コカ・コーラが濃縮原液事業にフォーカスしはじめ、さらに差が開いています。
今後は、成長投資に加え、増配、M&Aによるポートフォリオ強化、自社株買いにお金を使うといっています。成長投資を通じた新興国市場でのシェア拡大や、M&A通じたポートフォリオ強化で、今後も継続的にキャッシュを稼ぐ体制を構築していくと考えられます。
配当・株価
配当金は、年率8%で増加させています。配当性向は徐々に上がっており、2020年では78%に達しています。
ただ、91%のコカ・コーラに比べるとまだ増配余地はしばらくあると考えます。また、新興国市場での成長余地が大きいことから、将来的な収益拡大と、増配の継続可能性も、コカ・コーラよりは高いと考えます。
株価を見ると、ペプシコは過去、コカ・コーラやS&P500を大きくアウトパフォームしてきました。
過去は将来を保証しないのですが、上記で見てきた成長余地を考えると、長期的には更なる株価上昇もありうると考えます。ただし、PERは27倍です。コカ・コーラ33倍よりはましですが、今後の利上げ可能性などを踏まえると、調整局面が来てからの参入がよさそうです。
まとめ
コカ・コーラと比較して、スナック・食品事業と供給網を有することから、投資がかかり、営業CFマージンは高くありません。しかし、売上高成長率は4%(コカ・コーラ0.3%)、営業CF成長率は4%(同2%)であり、成長性は高いです。
また、高いブランド力で、既に海外で浸透しているコカ・コーラに比べ、将来的なシェア拡大余地が高いと考えられます。特に、売上高の新興国比率は現在28%にとどまるため、そこのてこ入れ次第では、市場拡大の恩恵を十分受けられると考えられます。
さらに、加糖による健康懸念の逆風に対して、健康志向のブランドを買収することで、中長期的な成長に向けた仕込みを進めているのは評価できます。
配当はコカ・コーラよりも増配余地が大きい点で安心感があります。
ここまで見てきて総じて魅力的な銘柄ですが、株価はPER27倍です。33倍のコカ・コーラよりましですが、そこまで割安とまでは言えません(S&P500 20倍程度)。そのため、利上げに関する議論状況を鑑み、今後調整が入ったタイミングで参入しようと考えます。
ご参考までに、コカ・コーラ(KO)の銘柄分析はこちら。
今回は以上です!
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