Mikeの投資ブログ

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【エクソンモービル】長期投資目的で今から参入する銘柄ではない。ただし特殊環境下では買い【銘柄分析】

今回は、高配当の石油・ガスメジャーExxonMobil(XOM)の銘柄分析です。

本ブログでは、2045年までに、子育てをしながら無理なく1億円をためることを目標に掲げました。

mike2020.hatenablog.com

実現には、保有銘柄に占める高配当比率を高める必要があります。そこで、配当利回りの高い銘柄の分析を行っていきます。

エクソンモービルは、石油・ガスメジャーの最大手です。石油を中心にエネルギー資源の探鉱や生産、輸送、精製から販売まで手掛けます。配当利回り5.6%、38年連続増配の企業です。

結論としては、「株価は原油価格と概ね連動するも、供給側の事情が見通せず、リスクの高い投資となる。環境問題・ESGの逆風もあり、20~30年の長期保有・配当目的で今から参入する銘柄ではない。もし、将来的にパンデミックによる暴落があれば、短期での売却を前提に買い付ける可能性はあり」。主な理由は以下です。

・売上の約8割は下流部門(石油精製・販売)で、原油価格に概ね連動

原油価格は基本的に需給で決まる。ただし、供給側の変動要因は読みづらい。そのためリスクの高い投資になる

原油価格が過去の高水準に戻らない場合、コスト削減や投資効率の改善などで業績を高める必要がある(2022年末までに従業員の15%を削減予定)

配当利回り5.6%、連続増配38%は魅力だが、長期で見たときに、今後も増配が続けられるか不透明

・とはいえ、昨年のコロナのような一時的な暴落で、その後の株価上昇が確実な場合は、短期保有目的で買い付けるオプションはある

以降で詳細を見ていきましょう。

目次

指標

主な指標は以下です。特徴は、配当利回り5.6%、連続増配38年です(PERは昨年赤字で記載なし)

・株価: 62.75ドル(2021年6/11時点)

・PER:―

・EPS:0.2ドル(Earnings per Share:一株当たり利益)*直近4四半期合計

配当利回り:5.6%

・年間配当額:3.48ドル

・配当支払月:3、6、9、12月

・連続増配年数:38年

Nasdaq HP、エクソンモービルHPより)

業績

2020年は、コロナ影響で19.1 十億ドルの最終赤字でした。売上高は179十億ドル、営業利益率-16%でした。2008~2020年までの売上高成長率は年率-8%でした。コロナ影響がなかった場合のトレンドを見るため、2008~2019年でみると、-5%でした。コロナがなくても右肩下がりでした。

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ExxonMobil IR情報を基に作成

 事業セグメントは、以下の三つです。

・Downstream:下流部門。石油精製や販売

・Chemical:化学部門。化学製品の製造・販売

・Upstream:上流部門。原油天然ガスの生産・開発

下流部門が売上の約8割を占めます。利益も同様に下流部門が大半を占める構造です。

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ExxonMobil IR情報を基に作成

セグメント別の売上推移を見ても、各セグメントともマイナス成長です。

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ExxonMobil IR情報を基に作成

その理由は、単純化すれば、結局のところすべてのセグメントで石油を扱っているからです。

例えば、原油価格が上昇すれば、生産者は原油販売価格を上げられるので、コストが変わらなければ、石油関連企業の収益は上がります(参照元)。そのため、通常の環境下においては、経済活動のための需要から、原油価格上昇にともなって新たな設備投資と石油精製を行う中で、石油関連事業の売上は上がります(通常というのは、コロナ禍のような特殊な状況を除くという意味です)。

逆に、2014年秋ごろからのトレンドのように原油価格が下落すると、エクソンの売上も下落してしまいます。

では、この原油価格は何で決まるのか。基本的に需要と供給で決まります。ただ細分化すれば、以下のような要因があります

シェールオイル生産状況

OPECの動向

・非OECD諸国の需要

・米国の在庫状況

原油先物市場の建玉状況(投機家の売買増減)

・その他要因(エネルギー全体の需給構造変化や為替、商品市場への資金流入、国際情勢等)

があります(詳細はこちら参照元

これらの要因が原油需給に影響し、原油価格が上下します。そして、概ねそれに連動し、石油メジャーの業績、および株価が上下します。

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Investing.comの情報を基に作成

ですので今後、世界の経済成長で主要なエネルギーとして石油が必要ではありますが、結局のところ、供給側の事情(政治的思惑等)で上がるのか下がるのか見通せないのです。この点、先が読めないリスクの高い投資になるということです。

*供給側の動き、例えば、OPEC(石油輸出国機構)プラスの協調減産は2022年4月まで続けると合意されていましたが、協調減産が段階的に縮小するという報道もあります(参照元

さて、キャッシュフローの推移も、概ね右肩下がりです。

営業CFは2008年から2020年までで年率11%で下がっています。営業CFマージンは横ばいか近年下落傾向です。

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ExxonMobil IR情報を基に作成

競合と比較すると、2018年以降、シェブロン(CVX)、ロイヤルダッチシェル(RDS)の方が上回っています。

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ExxonMobil、BP、Chevron、Royal Dutch Shell IR情報を基に作成

また投資CFは毎年かかっていますが、20年くらい先を見据え、石油採掘などの投資が必要となっているためです。

さらに、株主による資本がどれだけ効率的に使われているかを測るROE自己資本利益率)を比べると、2014年まではトップでしたが、それ以降はシェブロンに負け越しています。

 

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ExxonMobil、BP、Chevron、Royal Dutch Shell IR情報を基に作成

今後もエネルギー需要構造の変化(再生エネルギーの台頭など)がある中で、業績を高めるには、コスト削減、投資効率などの改善が必要です。エクソンは、さっそく2022年末までに従業員の15%(1万4千人)削減に取り組むとしています(参照元)。今後は、これまでの右肩上がりの時代が終わり、こうした形で、石油需要の変化や原油価格の上下といった要素に対処していくことになるでしょう。

配当

そうすると、今後の配当継続性が懸念です。

2008年~2020年は、年率7%で増配を続けてきました。特に2014年以降の苦境の中でも増配を実現できているのは素晴らしいです。

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ExxonMobil IR情報を基に作成

しかし、2020年はロイヤルダッチシェルやBPが減配している中でも増配したのは、借入金を増やしたからです。40%増やし、約700億ドルの借り入れとなりました(参照元

昨年は特殊状況とはいえ、長期的にはエネルギーに占める石油比率は低下します。下図は、エクソンが投資家向けに出している2040年の一次エネルギー需要の構成比です。(石油に関して強気な見立てな気もしますが)再生可能エネルギーなどその他の構成比が高まります。そのような環境下で、上述のように、供給側の思惑等で原油価格が上下するリスクがあることを踏まえると、長期にわたってこれまでの増配が続くとみるのは危険です。

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ExxonMobil IR情報より

冷静に考えれば、エクソンが人気銘柄となっているのは、何年も前から保有している人が高配当・連続増配の恩恵を十分に受けてきたためと考えられます。そういった人たちは、今でも「エクソンいいね!」「保有はGood!」「株価下落すれば買い増し!」と推奨するでしょう。しかし、私のような20~30年スパンでの長期保有・配当目的の投資家が、今から参入を検討すると、うまみのある銘柄とは言えそうにありません。

ただし、これは投資目的や各々のスタンスによって変わります。

例えば、短期売買でもうけを出したい人や、数年間保有するだけでも利益が出ればいい、という人にとっては、悪くない銘柄かもしれません。というのも、

a)原油相場と概ね連動しながら上下するので、ビットコインよりは見通しがつく

b)2020年のパンデミックのような特殊要因があれば、その後の経済回復過程では確実に株価が上昇する

c)他社との統合で株価が上下する可能性がある

d) ESG*で特に評価を落としているエクソンが、今後の対応によって評価されると、株価にポジティブな可能性がある

からです。特にb)のようなことがまた十年後に起これば、ばくちをしてみてもいいかもしれません。一方、c)は昨年シェブロンとの経営統合のニュースがありましたが、それが必ずしも株価の上昇要因になるかは不明です(参照元

今後の展望

以上みてきて、株価が原油価格に連動するので、脱化石燃料の動きも踏まえると、20~30年の長期保有目的で今から参入するのは賢明な選択ではありません魅力である配当も、これまでの高水準を前提にして買い始めると、長期的にはは減配を続けてしまう、といった可能性もあります

ですので、私にとっては、もし買うのであれば、暴落時に買付け、短期で売り抜けられるシナリオのみと考えます。例えば、昨年のコロナのようなパンデミックなど、経済活動の回復に伴い、確実に石油エネルギーの需要>供給となることが明らかな場合のみにしようと考えています。 

今回は以上です!

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