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【キンバリークラーク(KMB)】株価・基本情報 │ P&Gより高配当の消費財大手。将来性への期待あり【銘柄分析】

今回は、Kimberly Clark/キンバリー・クラーク(KMB)の銘柄分析をします。

日本ではティッシュクリネックスで有名な米消費財企業です。

今回の結論は、「P&Gの方が断然買いだが、配当利回りと中長期的な成長期待から、大幅に割安となったら、キンバリークラークを少額購入して様子見」です。理由は、

・高利益体質かつ高シェアのP&Gに後塵を拝している

新興国でブランド浸透が不十分。逆に言えば、プロダクトが過小評価されている可能性があり、P&Gより改善の余地あり

新興国でのシェア向上に向け、手を打ち始めている(例:インドネシアのSoftex買収)

新興国で競争優位を構築できるのか、中長期的にモニターする必要がある

配当利回り3.5%はP&Gより魅力。連続増配49年も安定感あり

・ただし現在のところ、割安感は乏しい

では、以降で詳細を見ていきましょう。

目次

指標

主な指標は以下です。特徴は、49年連続増配、また過去12年、年率5%ペースで増配している点です。

・株価: 129.60ドル

・PER:19倍(Price Earnings Ratio:株価収益率)

・EPS:6.87ドル(Earnings per Share:一株当たり利益)

配当利回り:3.51%

・年間配当額:4.56ドル

・配当支払月:3、6、9、12月

・連続配当年数:49年(過去12年で年率5%増)

Nasdaq HPより)

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キンバリークラーク IR情報を基に作成

業績

2020年の売上高は19,140百万ドル、営業利益率17%でした。

2015年売上高が対前年比5%下がっていますが、ヘルスケア部門が2014年にスピンオフしたためで心配ありません。2016年-2020年で成長率をみると*、年率1.1%です。果たしてこれは低いのか高いのか

*2015年は営業利益が一時的に下落しているため2016年をピック

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キンバリークラーク IR情報を基に作成

比較のため、業界トップのP&Gを見てみます。同期間の売上高が65,231百万ドルから73,975百万ドルへと年率3.2%で成長しています。ですので、キンバリークラークは低成長といえます。

営業利益でみても、キンバリークラークは3.383百万ドルから3,244百万ドルへと年率-1.0%と減少しています。P&Gは、13,446百万ドルから17,595百万ドルへと年率6.9%の増加です。そのため、キンバリークラークは完全に負け越しています。

しかもP&Gは、2016年にすでに営業利益率21%で、消費財メーカーとしては筋肉質です。それを2020年24%に上げ、さらに鍛え上げている印象です。一方のキンバリークラークは、営業利益18%が17%に下がっています。

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P&G IR情報を基に作成

つまり、業界トップと比べると、成長性や利益率でかなり後塵を拝しています。当然、P&Gとキンバリークラークで扱う商材が異なります。キンバリークラークは紙製品が多いため、パルプコストの上昇など原料コストで利益率が圧迫されている状況はあります。しかし、それ以外のトップライン(売上)側でも課題がありますので、後述します。その前に、まずキンバリークラークの事業セグメントを見ていきます。

 

セグメントは、パーソナルケア(おむつ・衛生用品)、コンシューマティッシュ(消費者向けティッシュ)、K-Cプロフェッショナル(業務用品)の三つです。

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キンバリークラーク IR情報を基に作成

消費者向けティッシュは伸びています。とりわけ2020年はコロナ特需がありました(ただし2021年1-3月期では特需終了で売上急減。参照元こちら)。一方、売上・利益の約半分を占めるおむつ・衛生用品は、年率-1.3%と微減です。

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キンバリークラーク IR情報を基に作成

その背景には、成長市場のおむつ・衛生用品で、競合と比較して市場拡大の恩恵を十分に得られていない点があります。特に、市場拡大が著しいアジアで競争に勝てていないのです。

まず、アジアのベビー用品の国別市場規模を見てみます。

2020年で中国が53%、次いでインドネシア10%、日本9%、インド5%です。この四か国で、8割近い市場規模となります。

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国連の情報を基に作成

それら市場において、キンバリークラーク(円グラフのグレー)はP&Gだけでなくその他競合にも負けています。

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Euromonitorの情報を基に作成

またこれは金額ベースであり、売上に占めるプレミアム製品の比率も反映されています。つまり、店頭やECの商品ミックスに高価格帯を増やしていくことで、単価を向上させ、利益率を高められれば、金額シェアは高まります。キンバリークラークのマネジメントは、これが十分でないと認識しているので、投資家向け資料でもその点「頑張ります」と主張しています。

加えて、自社事業による成長(オーガニック)以外に、M&A(インオーガニック)による成長も模索しています。その代表例が、インドネシアのSoftexです。

グラフで分かるように、ユニ・チャームに次ぐシェア32%のインドネシア企業です。これを、2019年に12億ドル(約1,275億円)で買収しています。Softexの2019年売上規模は420百万ドルですが、将来性はあります。なんといっても、全世界でも6番目の市場規模で、二桁成長率で拡大するインドネシア市場です。競争優位を築き、シェア向上できた場合のリターンは大きいのです。この買収は、将来につながる打ち手だと考えます。

今後の展望

もちろんキンバリークラークのマネジメントは、アジアだけを見ているわけではありません。今後、ブラジルなども含む新興国で勝っていくために、広告費の増加なども実施していくようです。また新興国で認知度が低く、プロダクトが過小評価されている可能性があります。ですので、ブランドの浸透を図っていくと考えられます。

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キンバリークラーク IR情報より

さて、キャッシュフローの推移をみると、営業CFが比較的安定的に創出できています。現在の市場シェアでこの水準ですので、将来、米国などブランドが浸透している国での利益を維持しながら、新興国でのシェアアップを実現できれば、更なるキャッシュ創出が期待できると思います。その点、アップサイドだと考えます。

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キンバリークラーク IR情報を基に作成

まとめると、業界トップのP&Gに比べて、これまでは利益率・成長性が低かったが、中長期的には、新興国で競争優位を築ければ、業績が拡大していくと考えられます。ですので、今後は新興国での対競合比での売上・利益を拡大できるかが、株式購入を検討する際にポイントになると考えます。

 

ここまで見てきて、キンバリークラークの良さよりも、P&Gのすばらしさの方が際立ってしまったかもしれません。正直、もし消費財業界での投資先を探しているのであれば、間違いなくまずはP&Gを勧めます。

ただ、既にP&Gを保有しているが、「もっと高配当がいい」「将来の増配余地に賭けたい」という人がいれば、キンバリークラークは購入検討してもいいと思います。しかしその際は、もう少し割安感があるときの方がいいでしょう。

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Macrotrend.net

ちなみに私は、比較してみてP&Gの方が断然有望なので、P&Gをポートフォリオのコアとする点は変化ありません。ただし、キンバリークラークの大幅割安フェーズが来れば、少額購入し、様子を見てみるのもいいかもしれないと思っています。というのも、P&Gの配当利回り2.62% vs キンバリークラーク3.51%なためです。また、中長期的な成長余地という観点からも、面白味があるとも感じるからです。

今回は以上です!

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ご参考までに、P&Gの過去決算に関する記事はこちらです

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その他高配当企業の銘柄分析はこちらです

・生活必需品セクター

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・ヘルスケアセクター

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