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【MO】アルトリアグループの株価・配当・今後の見通し │ 将来減配リスク!【銘柄分析】

今回アルトリア・グループ(MO)の銘柄分析を行います。

アルトリアは、米国最大のたばこメーカーです。有名なたばこブランドのマルボロを展開している企業です。

今回の結論は、「今すぐ積極的に買いたいほどの魅力なし。3~5年での売却を前提に、もし割安になったら配当目的で購入」です。理由は、

・たばこ市場の縮小が加速し、事業成長余地は小さい。そのため、長期視点保有はできない

・ただし、規制業界・寡占市場の恩恵はしばらく享受可能そう

・株価は、政府規制やESG*での資金流出により、上昇は期待しづらい

・とはいえ、連続配当51年、現在配当利回り6.99%は魅力

・PER10倍程度以下など割安になったら購入

*ESG: Environment, Society, Governance(環境、社会、コーポレートガバナンス)のこと。ESGを重視する投資家が、ESGの考え方に反する、あるいはESGへの取り組みが不十分な企業への投資から手を引くことが増えている

たばこのため諸々の懸念などを挙げながらも、連続配当・高配当のため買いを推奨する記事当多数見かけますが、長期保有はお勧めできない銘柄だと考えます。以降でその理由を見ていきます。

指標

まず主な指標(2021,5/22時点)です。特徴は何といっても配当利回り6.99%、連続配当年数51年です。そのほかは以下です。4月半ばにニコチン規制検討の報道で下落し、PER20倍を割り込みましたが、依然として割高に見えます。

・株価: 49.22ドル

・PER:21.03倍(Price Earnings Ratio:株価収益率)

・EPS:2.33ドル(Earnings per Share:一株当たり利益)

配当利回り:6.99%

・年間配当額:3.44ドル

・配当支払月:1、4、7、10月

・連続配当年数:51年

業績

売上高は、2020年20,841百万ドルです。2008年から年率2%で成長しています。営業利益率は2020年52%で、こちらも2008年の31%から上昇してきています。

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アルトリア・グループ IR情報を基に作成

売上の内訳は、マルボロを軸としたたばこ事業が売り上げの9割近くを占めます。無煙たばこは10%程度です。またアルトリアは米国内のみでの事業展開ですので、マルボロの動向が、全社業績を左右します。

そのマルボロは、古い情報となりますが、2015年で40%以上の市場シェアを有しています。また、市場はアルトリアと競合のレイノルズ・アメリカンの二社で8割を占める寡占状態です。たばこは嗜好品であり、すぐに好みのブランドから大きく転換しないと仮定すると、現在でも市場で優位なポジションを維持していると推測されます。

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Euromonitorの情報を基に作成

アルトリアの高い営業利益率は、競合との寡占市場が理由の一つです。たばこは規制が厳しく、新規参入が難しい業界です。そのため、生活必需品セクターでありながら、価格競争で利益率を落とすことがありません。

上記のような構造的強みがあり、営業キャッシュフローは順調に拡大しています。後述のように縮小市場ではありますが、単価上昇で補っています。

また、たばこ業界の特徴として、大きな設備投資がかからない点があります。そのため、投資CFは特別なことがないと大きくはかかりません。例えば、2018年に無煙たばこのJUUL社に128億ドル出資しています(ただし、のちに80億ドル以上減損しています。これには、無煙たばこの健康被害が指摘される中で、販売を中止する小売業が相次いでいるという背景があります)

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アルトリア・グループ IR情報を基に作成

そのためこれまでは、安定的にキャッシュを稼ぎ、過去の連続高配当を実現してきています。

配当

配当は、51年連続で行っています。

また増配については、過去11年間連続で実現しています。配当重視を経営陣が明言していることもあり、十分なキャッシュを稼げる限りは、高配当が見込めると思います。ですので、ポイントは「果たして今後も十分キャッシュを安定的に稼げるのか」です。

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アルトリア・グループ IR情報を基に作成

今後の展望

今後の展望ですが、1)今後のビジネス動向と2)配当・株価について書いていきます。 

1)今後のビジネス動向

まず、米国のたばこ市場は成長しません。想像に難くないと思いますが、健康被害への懸念などがあり、市場の縮小速度は上がっています。

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www.simplysafedividends.com 記事より

そこへの対策として、今後の成長の仕込みのため、無煙たばこへの参入を試みています。例えば、上述のJUULへの出資や、iQOSの米国ライセンス取得などです。しかし、JUULは不振が続き、欧州やアジアの一部市場からの撤退を決めています。また昨年秋は社員の約半数を解雇するなど、今後の成長期待は薄そうです。

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アルトリア・グループ IR情報より

一方のiQOS(フィリップモリス/PMI)ですが、無煙タバコ市場でのフィリップモリスのシェアは僅少です。米国でのライセンスもどこまで業績に寄与するか不透明です。

また、Coronosというカナダの大麻企業に出資し、カナダの当麻産業に参入もしました(2019年に1,980億円を出資しています。参照元)。葉っぱつながりということですね。このあたりの市場性を調べたことはありませんが、米国留学時代に寮で目の当たりにした光景を思い出すと、Mikeとしては長期的なポテンシャルは感じます笑 ただ、こちらも非常に不透明です。

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TabaccoTactics.orgを基に作成

ですので、5~10年スパンでは寡占市場でおいしい思いを続けられるのでは、と考えますす。しかし、それ以降は新たなビジネスの種が立ち上がらない限り、売上成長は厳しいと考えます。今後は、その進捗を追う必要がありそうです。

 

2)配当・株価

まず配当です。

上記のビジネス状況から、今後も長期で高配当を維持するのは難しいと考えます。理由は、フリーキャッシュフロー(FCF)の成長余地が限られるからです。

過去のFCFと配当支払いの金額推移をみると、年間の配当支払いの金額が、FCFの7割以上に上っています。2009年や2018年などFCFが赤字の年も配当支払いを行っています(なんと素晴らしい経営陣でしょう)。将来、もしFCFが横ばいもしくは減少していくと、減配は避けられないでしょう。

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アルトリア・グループ IR情報を基に作成

また株価にとっては、政府規制やESGブームが下落圧力となります。

例えば、4月半ばのバイデン政権によるニコチン含有量を減らすための規制検討など、ニコチンの人体への悪影響は明らかであり、今後も盛り上がれど、下火になることはありません。そういった議論が一時的な下落を引き起こすだけならいいですが、規制が実行されるなどして、業績に影響する場合は、株価の上昇が見込めなくなります(参照元)。

加えて、昨今のESGブームの中で機関投資家は、ESGの考え方に反する企業や、取り組みが不十分な企業への投資から撤退しています。

日経の記事では、アルトリアの2017年の株価ピークからの下落も、その影響という文脈で書かれています(参照元)。ESGブームは、一過性のものではなさそうですので、機関投資家から改めて資金が流入するというシナリオは想定しづらそうです。今後についても、将来成長の仕込みが無煙たばこや大麻ですので、厳しいでしょう(大麻がみんなに受け入れられる世界が来れば別ですが。。。)

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Google検索より

ちなみに蛇足ですが、投資の神様ウォーレン・バフェットは、アルトリアについて、過去次のように表現しました。

 “It costs a penny to make. Sell it for a dollar. It’s addictive. And there’s fantastic brand loyalty.”(参照元

たばこをペニー(1/100ドル)で生産し、一ドルで売る。またたばこは依存性が強い。さらに、ファンタスティックなブランドロイヤリティがある

 

端的には、事業モデルとして素晴らしいということです。

また過去、たばこ業界に投資したことがある、と言及しています(現在の保有については言及を避けています)。ただ、たばこ業界への投資について「許容されるか、されないかの線引き」は、その人次第だという趣旨のことを述べていました。というのも、バリューチェーンを見てみると、セブンイレブンなどの小売業者はたばこを売っているが、そこには投資していいが、たばこメーカーはだめなのか、など、判断は難しいということです(参照元

何が言いたいかというと、たばこと聞いて、拒否反応を示す方もいるかもしれません。ただその線引きをどこにするかは、考える余地がある、というのは確かにその通りだと感じました。

私の場合は、たばこや葉っぱ(大麻)メーカーでも、ファンダメンタルズが良ければいいのですが、今回のアルトリアは、将来性が低く、配当で得られるリターン以上に株価下落の損失が出そうと考えているため、長期保有は避ける方針です。もし割安であれば参入し、3~5年程度、短期的にまだ享受できる恩恵にあずかってから、売却しようと考えています。

今回は以上です!

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