投資の失敗あるある:方針のブレ
投資の失敗あるあるをご紹介します。
それを共有することで、読者の皆様が、同じ過ちを避けられればいいなと思います。
今回は、「方針のブレによる機会損失」です。
簡単に言いますと、購入時は長期保有方針でしたが、株価の下落幅が大きい時期を経て、もう戻らないのではと心配になり、元本回復したところで売却してしまいました。しかしその後、景気回復に伴い、+40%以上の株価になっているようなケースです。以下、経緯をつづります。
基本的な投資方針
そもそも私は株式の購入時、「この銘柄は〇〇の方針で保有しよう」ということを決めます。例えば、
1.米国連続増配株は積立購入し、売らない(基本的な投資方針はこのスタンス)
2.グロース株は、調整局面で購入し、一定の損益水準に至ったら売却(1の投資資金を積み増す)
3.仕事などを通じて自分が知っている業界の株式は、ファンダメンタルズからおおむね上下が想定できれば、購入・売却する(1の投資資金を積み増す)
4.NISA枠での購入株は、5年までには売却できるよう、近年の割安水準で購入。途中では売らない(1の投資資金を積み増す)
というような形です。
商船三井株での失敗
商船三井株は、2020年2月、新型コロナウイルスが広まり始めた時期に購入しました。
海運株は、上記3にあるように過去の仕事である程度知っている業界でした。ですので、以下のようなエグジット(売却)構想を持っていました。
「コロナでの市況低迷で割安となっているが、今後の景気回復に伴い必ず株価が上昇するから、少なくとも景気回復フェーズでの上昇まで保有しよう。コロナ後すぐに上がらなくても、次の景気回復フェーズでは確実にあがるから、それまで待とう」
しかし実際には、以下のような行動をとってしまいました。
2020年2/4 2,720円で購入(PER 8倍)
2020年11/27 2,765円で売却(PER17倍)
実現損益4,500円(手数料・税引き前)
2月に購入後、みるみる下がり含み損が拡大する中で、絶望的な気持ちになりました。そして、9月ごろやっと上昇し始め、元本まで戻った11月に、「またすぐに下落してしまうのでは」、「売却のチャンスを逃してはならない」といった気持に支配されました。
購入時には自信のあったストーリーは、感情的な意思決定の前でもろくも崩れ去りました。
ちなみに購入時は、以下の理由で商船三井株を選択しました。
- 2008年度に日本海運企業は各社最高益だったが、リーマンショックで一気に低迷し、株価も10年近く低く推移
- 海運株は、バルチック海運指数*と似た動きで、トレンドがある程度見通せる
- 景気動向で業績が大きくぶれ、過去巨額の赤字要因となったコンテナ船事業は、ONE設立**により持分法適用でリスク低減
- 競合比較では、輸送キャパシティが重要となる海運において、日本郵船が優位な点もあるが、LNG含むエネルギー事業では商船三井は中長期的には有望
*石炭や鉄鉱石などのばら積み船の運賃価格から算出される指数(参考)
**商船三井、日本郵船、川崎汽船の3社のコンテナ船事業の統合会社
もちろん今回の失敗では、当初の方針を貫けなかった背景の一つとして、下落タイミングの初期に購入してしまった点もあります。落ちてきたナイフを素手でつかむような真似は避けなければなりません。その観点から、今回の件は購入タイミングからよろしくないことは確かでした。
ですが、購入時はそれを自覚したうえで、その後の更なる下落があっても、市況や指数を踏まえれば、それ以上の回復が見込めると考えていました。
しかし現実には、3/19 1,550円(-43%)まで下がり、次第に自分の方針に対する自信がみるみる喪失していきました。また、世の中的なコロナの長期化などで、元本が戻れば売却したいと思うようになってしまったのです。。。
まとめ
以上のように、購入時はいくら自信があっても、株価の下落を見ていると、自分のストーリーに自信を失ってきます。そこに立ち向かえるようなメンタルを鍛えるといった打ち手もあるのかもしれませんが、現実的とは言えません。
ですので、やはり投資方針として、1.(米国連続増配株は積立購入し、売らない)に集中するのが、後悔のない投資なのだと思います。